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【コラム】41年ぶりの快挙を成し遂げたヤクルト・小川泰弘、節目の勝利をモチベーションに勝利を重ねる

 ヤクルトの小川泰弘が投打で主役を演じた。舞台は神宮、6月3日の西武戦だ。先発した小川は丁寧に低めを突く投球で5回まで1安打無失点。味方打線も西武先発・髙橋光成の前に得点を奪えない。両軍ゼロ行進の状況を打破したのが小川だった。5回裏、先頭で打席に入るとカウント2-2から2球ファウルで粘る。そして、7球目だ。真ん中高め、146キロ直球を強振すると高く舞い上がった打球が左翼席最前列に飛び込んだ。自身6年ぶり、プロ通算3本目の一発。0対0の均衡を打ち破ると小川のピッチングは再加速する。6、7、8回をゼロで締め、9回はマクガフがマウンドへ。助っ人守護神が西武打線を三者三振に仕留め、1対0で勝利。小川は今季3勝目を挙げた。

 「振り遅れないことを意識して、練習をしてきました。素振りをしてきたかいがありましたね。まさか入ると思っていなかったので全力疾走していたんですけど、歓声が上がってうれしかったです」とお立ち台で笑みを浮かべた小川。投手自らの決勝弾による1対0の勝利は1981年8月16日の中日戦で記録した広島・金田留広以来、史上10人目、41年ぶりの快挙だった。

 今季は2年連続6回目の開幕投手を務めた小川。しかし、白星が遠かった。4試合に投げた時点で0勝2敗、防御率5.68。苦しむ中、中12日で登板した5月3日の阪神戦(甲子園)で原点に返った。オフから、セットポジションの際に左足を約1足分三塁側に踏み出す新たな投球フォームに挑戦していたが、同戦から昨年までのフォームに戻し両足をそろえた。「体を大きく使って力強く投げていくという原点に戻って、しっかり足を上げてという意識です」。出力の上がった直球で攻めた。3点リードで迎えた6回二死二、三塁。一発が出れば同点の場面で佐藤輝明に対して6球連続で内角直球を投げ込んだ。最後は三邪飛に打ち取り、そのまま今季初勝利を完封で飾った。

 節目の10年目を迎えた今季。4年間務めていた中村悠平からバトンを受け、新たに選手会長に就任した。明治神宮での必勝祈願で絵馬にしたためた言葉は「日本一」と「世界平和」。好きな野球を不自由なくできるありがたみをかみ締めながら、懸命に腕を振る。

 「まだまだ若手に負けずにチームを引っ張っていかないといけないですが、僕も若手から学ぶことはたくさんあります。年下の選手が多くなってきている中で、話しやすくフラットに、気軽に声を掛けたり、どんどん積極的にしていきたいです。でも、今年で32歳になりますが、あらためて42歳の石川(雅規)さんの取り組みや向上心であったり、学ぶところはすごく多いです。技術的なところも本当に深いので。石川さんを含め、先輩の姿を見て少しでも学んで糧にしていきたいなと思っています」

 今季目指すはキャリアハイの16勝。それを成し遂げれば節目の100勝に到達する。

 「簡単ではないですが、100勝に向けてのモチベーションとして16勝を目指して頑張りたいですし、そのためにはまずは2ケタ勝利。そこから一つずつ積み重ねていきたいです」

 ヤクルトの連覇に小川の躍進は欠かせない。今後も投打で手を抜くことなく、全力プレーでシーズンを駆け抜ける。

【文責:週刊ベースボール】