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【コラム】DeNA・今永昇太が今季3人目のノーヒットノーラン、確実に近づいている“理想の投手”

 「手も足もヒットも出ません。いやもう、おめでとうですね。テンポもいいし、コースにビタビタ。タイミングを狂わせて、いい投手ですよ」と敵将・BIGBOSSこと新庄剛志監督が絶賛した。6月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で躍動したのがDeNA先発の今永昇太だ。糸を引くような最速151キロの直球が内外角低めに決まる。9奪三振中7個が直球。キレのあるボールに日本ハムの各打者のバットは空を切った。2回に清宮幸太郎に四球を与えたのみで、ほかのイニングは三者凡退とほぼ完ぺきな内容。9回裏、28人目の打者、野村佑希を右飛に打ち取り、自身初のノーヒットノーランを達成した。4月に完全試合を遂げたロッテ・佐々木朗希、5月のソフトバンク・東浜巨に続く今季3人目の快挙となった。

 だが、その瞬間、今永の表情が緩むことはなかった。見ている側が戸惑うほどの無表情。「そこまで深い意味はないんですけど、ここは僕たちのホームではないので、あまり大喜びしてもなって。そんな感じです」。実際は今永なりの照れ隠しであり、「9回は達成してみんながマウンドに来てくれることをイメージして投げました」と周囲の目を意識したパフォーマンスであった。「まさか自分がノーヒットノーランをできるとは思わなかったです。何者でもないイチ投手の自分を、みんなが導いてくれました。ありがとうございました。そのとおりになってホッとしています」。

 今年は2月のキャンプ中、左前腕に違和感を覚えた。筋肉痛のような張りがあり、検査を受けると肉離れが発覚。肩やヒジのケアには細心の注意を払ってきたが「正直、盲点だった」という部位の故障だった。開幕投手の最有力候補は左肩手術明けだった昨季に続いて開幕不在に。リハビリ中は複雑な思いでチームの戦いを見ていた。チーム内で新型コロナウイルス感染者が相次いだ時期もあり「スクランブル登板をしている選手や間を詰めて登板する選手もいた。自分自身も責任を感じていた」。戦力になれず、もどかしさは募った。今季初登板は5月6日の広島戦(マツダスタジアム)。17日の中日戦(バンテリンドーム)で復帰後初勝利を3年ぶりの完封で飾り、31日のオリックス戦(横浜)で2勝目。そして、ノーヒットノーランで3勝目を挙げた。

 かつて今永は理想の投手に関して次のように語っていた。

 「その投手でチームが負けたときに、周囲が納得するか、しないかだと思います。調子が良かろうが、悪かろうが、大事な試合で真っ先に先発投手として名前が挙がり、たとえ打ち込まれて負けたとしても、誰もが納得できる。そんな投手が理想です。そのためには、実力だけではなく、日ごろの野球に対する姿勢でも周囲を納得させる存在にならなければいけません。野球の実力以外でも、ほかをうなずかせられる投手が、僕の理想の投手であり、なりたい投手ですね」

 大記録を達成して花束を受け取り、ベンチに引き揚げる前にマウンドを丁寧にならした。「(用を足したあと)トイレットペーパーを三角折りにするのと同じ」と表現する完投勝利後の恒例の儀式。今永はマウンドへの敬意を自然と示すことができる男だ。ノーヒッターの称号も加わった。理想の投手へと確実に近づいているのは間違いない。

【文責:週刊ベースボール】