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【コラム】BIGBOSSの下、11年目で能力を開花させた松本剛、初の首位打者へ「1打席、1打席を大切に」

 四番の役割を果たした。8月31日の西武戦(ベルーナドーム)、日本ハムの「四番・DH」でスタメン出場した松本剛。「四番だったので、チャンスに回ってくる確率は高いと思っていました」と準備は万端だった。初回、一死一、二塁で打席へ。フルカウントから隅田知一郎が投じた内角低めのスプリットを巧みにとらえると三塁線を破る先制適時二塁打に。「泥臭く自分らしいヒットになってくれました」と笑顔を浮かべると、7回には相手の暴投で1点を勝ち越した直後に試合を決定付ける左前適時打。勝負強い打撃でチームを4対2の勝利に導いた。

 11年目の今季、BIGBOSSの下で能力が開花した。最もレギュラーの座に近づいた2017年は115試合出場で110安打を放った一方で、チーム2位の21犠打。自らを犠牲にした進塁打も多かった。しかし、今季はBIGBOSSから「進塁打はいらない」とチームへメッセージが送られ、松本剛も積極的に安打を狙う打撃を貫き、4月終了時点で打率.418と好スタート。結果が自信につながり、その後も首位打者を快走する安定した打撃を披露した。

 「特にタイミングをしっかり取れるようになったんです。それによって自分のタイミングで入っていける打席が増えました。それが大きいかったです」と松本剛は好調の理由を語ったが、飛躍の理由はほかにもある。「バットの存在も大きいです」と明かす。

 「僕はあまりバットを変えるタイプじゃなくて、2015年ごろからほとんど長さ、重さ、形を変えていなかったんです。ところが、去年の5月ごろからグリップを太くしたバットを使い始めて、すごく技術とマッチしました」

 きっかけは山田哲人、村上宗隆(ともにヤクルト)が太いグリップを使っていると聞き、試してみたことだ。そのときバットを握った感触がフィットした。以前は長打を欲しがり、グリップは細く、トップバランスのバットを愛用してきたが、発想がガラリと変わった。

 「飛距離があるタイプではなかったのに、長打を求めても限界があると感じました。とにかくヒットを打って出塁する。確実性こそが自分の生きる道だ、と。グリップが太いので握ったときに安心感が出て、バットの操作性が増しました。バランスも手元に近くミドルに変えています」

 ただ、今季はすべてが順調ではなかった。7月19日のオリックス戦(京セラD大阪)で自打球が左ヒザを直撃、左膝蓋骨下極骨折で戦線離脱。規定打席に届くか微妙な状況となり、完治を待たずに8月16日の楽天戦(札幌ドーム)で一軍復帰した。万全な状態でないにもかかわらず巧打を発揮していたが、9月2日の楽天戦(楽天生命パーク)で左ヒザに違和感。以後は休みながらの出場が続いている。

 9月5日現在、打率.353で2位の吉田正尚(オリックス)に3分以上の差をつけている。規定打席には残り21試合で54打席に立てば到達。ビッグタイトル獲得へ向け、ベンチからのバックアップも手厚いが、本人も「(タイトルを)獲れるように1打席、1打席を大切にやっていきたい」と覚悟を込める。球団では2007年の稲葉篤紀(現GM)以来の首位打者へ。自らを信じて最後まで駆け抜けるだけだ。

【文責:週刊ベースボール】