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【コラム】シーズン最終戦で大逆転Vのオリックス、「もっともっと成長したい」と語っていた吉田正尚

 負ければ終わり、勝ってもチャンピオンフラッグの行方はソフトバンクの勝敗に委ねられる。だが、オリックスナインは誰もあきらめてはいなかった。10月2日、最終決戦の相手は楽天。敵地の楽天生命パークで相手先発の田中将大を打ち砕かなければいけなかったが、打線は3回までパーフェクトに抑え込まれてしまう。4回には先発の田嶋大樹がつかまり2点を奪われた。だが直後の5回、ついに田中将を攻略。無死満塁のチャンスをつくると、伏見寅威、福田周平の適時打で逆転に成功した。4回からはリリーフ陣が楽天打線を抑え込む。9回には攻撃陣がダメ押しの2点を追加。その裏、2年目右腕の阿部翔太が締めてマウンドで雄叫びを上げた。

 笑顔を浮かべたナインがベンチに引き揚げた直後、球場のオーロラビジョンにはソフトバンク敗戦の瞬間が映し出される。それを目にしたオリックスナインは歓喜の表情で再びグラウンドへとなだれ込んだ。首位と最大11.5ゲームの大差をつけられながら143試合目に76勝65敗2分で並び、直接対決の勝率でソフトバンクを上回り大逆転優勝を遂げたオリックス。昨年に続いてマジックを点灯させることなく頂点にたどり着き、仰木彬監督が率い、イチローらを擁した1995、96年以来、26年ぶりとなるリーグ連覇を果たした。

 「歴史的な優勝だと思いますし、すごい確率を引いたなと思います」と感慨深げに語ったのは吉田正尚だ。打率.335、21本塁打、88打点をマークした主砲。今年もクリーンアップの一角として打線をけん引して優勝の立役者となった。ただ、順風満帆にシーズンを過ごしてきたわけではない。新型コロナの陽性反応に、左太ももの負傷で離脱。困難が立ちはだかったが、一喜一憂せずにその瞬間でベストを尽くしてきた。1位から3位までソフトバンク、西武、オリックスがゲーム差なしでひしめき合う9月上旬、「緊迫した中で気持ちを整えるために大事になることは何でしょう」と問われた吉田正は次のように答えている。

 「もちろん、良い結果を出すためにやっていますけど、失敗もある。仮にダメでも次はある。そこは引きずらないこと、しっかり切り替えることですよね。引きずって、失敗を続けるのが一番ダメだと思うんですよ。短期決戦のようで、短期決戦ではない混戦の展開での終盤。失敗しても次はあるし、明日は来る。その切り替えですよね。そう思ってやっていかないと、どんどん悪い方向に行ってしまうこともあるじゃないですか。悪いことばかりを考えても仕方ない。やっぱり、切り替えることです」

 さらに、チームの成長を感じる点に関しては次のように語っていた。

 「僕が言うのも変なんですけど、成長を感じるというより、まだまだチームが成長しているところだと思うんです。まだまだ強くなる。もっともっと勝てるチームになる。その中の1人として、どんどん成長していきたい。全員で勝って、皆で最後に笑えるように、全力でやる。だから厳しい戦いを勝ち切って、もっともっと成長していきたいと思います」

 吉田正の言葉どおり、チームは粘り強く戦い、成長曲線を描いて、“混パ”を制した。一回り大きくなったオリックスの次なるターゲットはもちろん日本シリーズ。昨年はヤクルトの前に2勝4敗で敗れ去った。26年ぶりの日本一奪回へ、吉田正が先頭に立ってポストシーズンを戦っていく。

【文責:週刊ベースボール】