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【パCSファーストS展望】リーグ優勝にあと一歩届かなかったソフトバンク、西武は強力投手陣で挑む

 ソフトバンクは2年ぶりのリーグ制覇にあと1勝が遠かった。マジック1が点灯して残り2試合と有利な状況だったが、10月1日の西武戦(ベルーナドーム)で延長11回に藤井皓哉が山川穂高にサヨナラ2ランを被弾。翌2日のロッテ戦(ZOZOマリン)も救援陣が中盤に崩れて逆転負け。同日の試合で楽天に逆転勝利を飾ったオリックスがリーグ連覇を飾った。

 藤本博史監督が新たに就任した今季は、度重なる試練に見舞われたシーズンだった。打線の核として計算していた栗原陵矢が開幕して間もなく、外野の守備で味方選手と激突。左ヒザ前十字靱帯断裂、左外側半月板損傷で長期離脱した。上林誠知も5月中旬に右アキレス腱断裂の大ケガで今季絶望に。7月に入ってもセットアッパーの又吉克樹が右足甲骨折、リードオフマンを務めていた三森大貴が左手親指骨折、中村晃が腰痛で登録抹消と想定外のアクシデントが相次ぐ。勝負どころの8月下旬には柳田悠岐、牧原大成、周東佑京、柳町達ら主力選手たちが新型コロナウイルス陽性判定を受け、戦線離脱した。

 戦力が整わず苦しいチーム状況だったが、8月は14勝11敗1分、9月も15勝10敗と勝ち越す。奮闘したのは若い力だった。育成枠で入団した藤井はシーズン前に支配下昇格し、セットアッパーとして5勝1敗22ホールド3セーブ、防御率1.12と大活躍。同じく育成枠で入団したプロ3年目左腕の大関友久は昨年5月に支配下昇格すると、今季は先発ローテーションで7勝をマーク。8月に左精巣に腫瘍が見つかり摘出手術を受けたが、9月下旬に復帰すると救援で奮闘した。野手陣も若返りが懸案事項だったが、柳町、三森、野村勇、正木智也、谷川原健太、渡邉陸らイキの良い若手が台頭。伸び盛りの彼らの活躍は戦力の底上げにつながった。

 リーグ優勝を逃したショックは大きいが、CSに向けて気持ちを切り替えなければいけない。選手層の厚いチーム編成は短期決戦で有利に働く。先発陣は千賀滉大、石川柊太、東浜巨、和田毅、シーズン途中に救援から配置転換された板東湧梧と質の高い投手たちがそろっている。投打で勝つ術を知っている選手たちが多いだけに、日本一を十分に狙える。西武とのファーストステージを勝ち抜き、オリックスにリベンジを果たしたい。

 昨年42年ぶりの最下位に低迷した西武は優勝争いに絡み、シーズン終盤は失速したが3位に躍進。チームカラーがガラッと変わった。かつては一発攻勢と機動力を絡めた破壊力抜群の「山賊打線」で打ち勝つ野球を志向していたが、今季は強力投手陣を武器に、失点を防いで逃げ切るスタイルに転換した。

 その生命線と言えるのが、救援陣だ。セットアッパーの平良海馬は61試合登板で1勝3敗9セーブ34ホールド、防御率1.56、水上由伸は60試合登板で4勝4敗1セーブ31ホールド、防御率1.77と抜群の安定感を誇る。この2人だけではない。本田圭佑は4勝2敗20ホールド、防御率1.97、森脇亮介は1勝1敗1セーブ10ホールド、防御率1.72。9回は31セーブをマークした守護神・増田達至が締めくくる。救援陣の防御率2.31はリーグトップ。試合中盤までにリードする展開になれば、逃げ切る野球が浸透している。

 チームの総得点は464でリーグ5位。野手陣は森友哉、外崎修汰、中村剛也ら主力が打撃不振に苦しんだが、四番・山川の復活が明るい材料だ。2018、19年に本塁打王を獲得した長距離砲だったが、20、21年は故障の影響もあり共に24本塁打止まり。低打率で四番を外れ、下位を打つことが多かった。今季は打率.266、41本塁打、90打点で本塁打、打点の2冠を獲得。山川が打てば打線が活気づく。今季本塁打を打った試合は30勝7敗で勝率.818を誇る。

 ソフトバンク戦の今季対戦成績は10勝14敗1分。敵地・PayPayドームでも5勝8敗と負け越している。ただ、山川はソフトバンク戦で打率.329、7本塁打、20打点と相性が良く、PayPayドームでも打率.333、5本塁打、16打点と気を吐いている。短期決戦は一発で試合の流れが大きく変わる。キーマンになることは間違いない。先制点を奪い、逃げ切るシーズン中の野球を実践できるか。

【文責:週刊ベースボール】