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【コラム】V目指すチームの救世主になれるか/セ・リーグ新人事情

 球団初のリーグ3連覇を目指すヤクルトは、2021、22年と2ケタ勝利投手がゼロだった先発陣の整備が最重要ポイントだ。その中で救世主になる予感を秘めているのが、ドラフト1位の吉村貢司郎だ。3月19日のオープン戦・阪神戦(神宮)で、大山悠輔や佐藤輝明を含む主力選手たちから6者連続三振を奪い、開幕先発ローテーション入りが当確に。150キロ近い直球と多彩な変化球は制球が良く、四球で崩れる心配がない。牽制やフィールディング能力も高く、新人王の最有力候補になるだろう。ドラフト3位の澤井廉は左の長距離砲で、村上宗隆の後継者として期待がかかる。負けん気が強く、ドラフトでは1位で指名されなかったことに複雑な表情も。外野の定位置争いは熾烈だがアピールしたい。ドラフト5位の北村恵吾は2月23日に巨人と対戦したオープン戦で初打席本塁打。2打数2安打と存在感を放った。課題の変化球への対応力を磨き、一軍に定着できるか。

 DeNAはドラフト3位の林琢真がオープン戦で8試合連続安打をマークするなど、必死のアピールで首脳陣の評価を高めている。2ストライクと追い込まれてからもファウルでカットする技術が高く、選球眼も優れている。本職は二塁だが牧秀悟がいるため、遊撃、三塁、中堅とさまざまなポジションを守っている。開幕一軍入りの可能性高く、シーズンでの活躍が楽しみな選手だ。高卒で一軍キャンプスタートを切ったドラフト1位の松尾汐恩は、走攻守3拍子そろった捕手。身体能力が高く、物怖じしない性格に大物の雰囲気を漂わせる。嶺井博希が昨オフにソフトバンクへFA移籍し、正捕手が確定していない。松尾は実戦経験を積むため、開幕はファームスタートの可能性が高いが、1年目から一軍デビューのチャンスが十分にある。ドラフト5位の橋本達弥は最速152キロの直球と、落差の鋭いフォークが武器の典型的なリリーバー。馬力があり、面白い存在に。

 阪神はドラフト1位の森下翔太が、開幕スタメン濃厚だ。右足肉離れで春季キャンプは二軍スタートだったが、2月中旬に一軍合流すると実戦で結果を残し続け、首脳陣の評価が急上昇。新人離れした飛距離に加え、変化球への対応能力が高い。選球眼も良いことからクリーンアップを任される可能性も。中大の先輩でDeNAの牧秀悟を慕う和製大砲は、1年目から大ブレークなるか。ヤクルト・吉村との新人王争いも注目される。ドラフト6位左腕の富田蓮も、即戦力であることを実戦で示している。キレがある直球に、スライダー、カーブ、チェンジアップの精度も高い。先発、救援のどちらで起用するか。ドラフト2位の門別啓人、ドラフト4位の茨木秀俊は将来のエース候補として、じっくり育てる方針。門別の背番号「30」は、高卒左腕で阪神のエースとなった井川慶の「29」を超えてほしい思いが込められている。球界を代表する投手に成長できるか。

 巨人はドラフト4位の門脇誠の評価が高い。遊撃の守備は強肩でハンドリングも巧み。身長171センチとプロ野球選手では小柄な部類だが、フルスイングでミート能力が高い。不動の遊撃手として長年活躍している坂本勇人のレギュラーの座を脅かせるか。チャンスが多いとは言えないがモノにすれば、新人王争いにも当然加わってくるだろう。高校No.1野手のドラフト1位・浅野翔吾はイースタン・リーグ開幕戦となった3月19日の西武戦(ジャイアンツ)で、猛打賞1盗塁の大活躍。木製バットの対応に苦しむことなく、広角に長打を打ち分けている。高卒1年目で一軍デビューは十分にあるだろう。ドラフト5位の26歳右腕・船迫大雅は変則のサイド右腕で、150キロを超える直球とスライダーでねじ伏せる。同じ変則サイド右腕の大勢が1年目の昨季守護神で大活躍した。救援陣は手薄なだけに、船迫もセットアッパーで大ブレークに期待したい。

 新井貴浩新監督が就任した広島は、社会人出身の即戦力投手たちが1年目から稼働できるか。ドラフト3位の益田武尚は、3月11日のオープン戦・ヤクルト戦(マツダスタジアム)で3回をパーフェクト投球。打者を見て投げられるクレバーな投手で、先発ローテーションに入る力を持っている。ドラフト5位の河野佳はオープン戦で好投を続け、救援で「勝利の方程式」に組み込まれる可能性も。制球が安定しており、ゆったりした腕の振りから手元で伸びる球質の直球で打者を差し込む。ドラフト6位の左腕・長谷部銀次を含め、新戦力の台頭が待ち望まれる。ドラフト1位の斉藤優汰は、身長189センチの長身から投げ下ろす角度のある直球が武器の本格派右腕。カープ伝統の厳しい練習で体を鍛え上げ、前田健太のような球界を代表する投手に飛躍してほしい。

 昨季6年ぶりの最下位に低迷した中日は、主力選手の入れ替えをオフに敢行。阿部寿樹が楽天、京田陽太がDeNAにトレード移籍した。チームは変革期を迎えているが、若手にとってはレギュラー獲りのチャンスを意味する。特に二遊間は競争が熾烈だ。ドラフト2位の村松開人はシュアな打撃、ドラフト6位の田中幹也は俊足と高い守備能力、ドラフト7位の福永裕基が長打力と持ち味がそれぞれ違う。ドラフト4位の高卒捕手・山浅龍之介も一軍キャンプに抜擢され、非凡な打撃センスと強肩をアピール。ファームで実戦経験を積み重ねることになるが、将来が嘱望される。ドラフト1位の仲地礼亜は直球と多彩な変化球で、ゲームメーク能力が高い。新戦力の中から、何人の孝行息子たちが誕生するか。彼らの活躍がチームの命運を左右すると言っても、決して大げさではない。

【文責:週刊ベースボール】