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【コラム】V目指すチームの救世主になれるか/パ・リーグ新人事情

 昨季リーグ連覇、26年ぶりの日本一を達成したオリックスは、主軸を務めていた吉田正尚がポスティングシステムでレッドソックスに移籍し、外野陣は熾烈なレギュラー争いが繰り広げられそうだ。ドラフト4位の杉澤龍は攻走守3拍子そろった選手で、仙台六大学野球で4年春に三冠王を獲得。身長175センチと上背が高いとは言えないが、フルスイングで力強い打球を飛ばす姿は吉田に重なる。与えられたチャンスを生かし、1年目から外野でチャンスをつかみたい。ドラフト2位の内藤鵬は高校通算53本塁打をマークした和製大砲。フリー打撃からサク越えを連発し、四番に抜擢も。3月14日のオープン戦・楽天戦(静岡)で、則本昂大から右中間に適時二塁打を放って評価を高めた。打球を遠くへ飛ばす能力は高校No.1と評されていたが、プロでも高い水準だ。2、3年後の一軍定着を期待されているが、頭角を現すのは早いかもしれない。ドラフト1位の曽谷龍平は貴重な即戦力左腕。先発、救援と幅広い起用法が考えられる。

 3年ぶりのV奪回を狙うソフトバンクは、ドラフト2位の大津亮介が多彩な変化球を武器に春季キャンプの実戦から好投を続けている。先発向きだが、ロングリリーフができる救援として起用される可能性が。ドラフト5位の松本晴も、ファーム公式戦初登板となった3月18日の中日戦(タマスタ筑後)で3回無失点とアピールした。左腕からキレのある直球が武器で、伸びしろが十分。加速度的な成長が期待される。ドラフト1位のイヒネ イツアはスケールの大きい大型遊撃手。規格外の身体能力で大きな可能性を秘めている。まだ線が細く、実戦経験を積む必要があるため、ファームでじっくり育てる方針だ。今年から12球団で唯一四軍制を導入し、育成ドラフトで14選手を指名した。育成入団から球界を代表する選手となった千賀滉大(メッツ)、甲斐拓也、牧原大成の存在は、一軍の舞台を目指す若手たちに勇気を与えるだろう。新星の台頭に期待したい。

 西武はドラフト1位の蛭間拓哉が外野のレギュラーを狙う。外野手がドラフト1位で指名されたのは球団史上52年ぶりという事実が、期待の大きさを物語っている。新人合同自主トレでは山川穂高に打撃センスを絶賛され、俊足にも定評がある。松井稼頭央新監督が重視する機動力野球の旗頭になれる素材だが、オープン戦では直球に差し込まれる場面が目立つように。修正能力も一流選手に求められる資質だけに、プロの壁を一つずつ乗り越えたい。ドラフト6位の児玉亮涼は守備能力が高い遊撃手。球界を代表する守備職人の源田壮亮から学べることは多い。俊足で三塁も守れることから、課題の打撃で結果を出せば出場機会が増えるだろう。ドラフト4位の青山美夏人は安定した制球力が持ち味。救援陣は平良海馬が今年から先発に配置転換されたため、層が薄くなっている。リリーバーで信頼を勝ち取りたい。

 楽天は支配下で指名した全6選手が大学・社会人と即戦力の補強に振り切った。ドラフト1位の荘司康誠は身長189センチの長身から投げ下ろす最速157キロの直球が武器の本格派右腕。まだ粗削りな部分があり、課題も多い。1年目からバリバリ投げるというより、2、3年後の主戦投手を目指すイメージか。ドラフト2位の小孫竜二は、球威十分の直球と縦に割れるスライダーが武器の即戦力右腕。春季キャンプから先発調整をしていたが、チーム事情でオープン戦途中から救援に配置転換。三振奪取能力が高く、セットアッパーとして期待がかかる。ドラフト4位の伊藤茉央は右のサイドハンドから高速シンカーを武器に実戦で好投を続け、開幕一軍入りが濃厚に。ドラフト6位の左腕・林優樹も好投でアピールを続けている。何人の新戦力がチームにプラスアルファをもたらせるか、楽しみだ。

 ロッテはドラフト4位の高野脩汰が個性的なフォームで話題を呼んでいる。左腕から一本背負いのように豪快に投げおろすと共に、目線は捕手方向でなく地面を向く。日米でセットアッパーとして活躍した岡島秀樹を彷彿とさせる投球フォームだ。140キロ後半の直球は球速以上の体感速度で、チェンジアップを効果的に使う。セットアッパーで一軍定着をつかみたい。ドラフト1位の菊地吏玖は春季キャンプで状態が上がらず、ファームで調整していたが、オープン戦初登板できっちり抑えた。実戦向きの投手なので、シーズンで見違えるように良くなる可能性がある。楽しみなのはドラフト5位の金田優太。ミート能力が高く、遊撃の守備もきっちりさばく。高卒1年目からファームで三番を任され、オープン戦にも出場するなど評価を高めている。レギュラー不在の遊撃で、早期の一軍デビューが実現するかもしれない。

 新庄剛志監督が就任した昨季は、9年ぶりの最下位に低迷した日本ハム。育成を重視した期間から一転。今年は実力主義でメンバーをある程度固定する方針を指揮官が明言している。新人王の有力候補はドラフト1位の矢澤宏太。大谷翔平以来の「投打の二刀流」で入団し、オープン戦では打撃のほうでアピールしている。スイングスピードが速く、練習試合、オープン戦で安打を量産。パンチ力も兼ね備えており、一軍で十分に通用するだろう。投手では救援で登板しているが、新庄監督の起用法が注目される。ドラフト3位の加藤豪将はレギュラー候補と目されていたが、3月中旬に右腹斜筋肉離れで戦線離脱。開幕一軍は絶望的となったが、コンディションを整えて巻き返しに期待したい。ドラフト5位の奈良間大己は俊足巧打で、一発もある。確実性を磨いて遊撃の定位置争いに参戦できるか。

【文責:週刊ベースボール】