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【コラム】史上最年少で通算200セーブ達成の楽天・松井裕樹、今季の目標は「防御率0点台、セーブ失敗なし、三振数アップ」

 節目の記録が目前――。どんなに経験を重ねても知らず知らずのうちに気持ちがたかぶってしまうものだ。4月5日の西武戦(楽天モバイル)。1対0と最少リードの9回表、マウンドに上がったのは松井裕樹だった。だが、楽天の守護神は山川穂高に二塁打を浴び、続くマキノンに四球を与え、犠打で送られ一死二、三塁のピンチを迎えてしまう。佐藤龍世は空振り三振に仕留め二死。続く代打・中村剛也には外角高めに浮いたストレートをはじき返された。右中間への大飛球。抜かれたら逆転を許す一撃だったが、中堅・辰己涼介が落ち着いて処理した。役割を果たした松井裕。今季3セーブ目は、史上最年少となる27歳5カ月での通算200セーブ達成となった。

 「高卒2年目の若造が大きなチャンスをいただいたことで最年少の記録と言ってもらえるだけです。家族や友人、ファンの皆さんが喜んでくれるのが僕のうれしさです」

 2015年、当時の大久保博元監督(現巨人打撃チーフコーチ)が松井裕をクローザーに抜てきしたが、その理由に関して次のように語っていた。

 「監督になったときに、自律神経を測る機械を導入して、専門医を入れたチームを作り、選手たちを測定しました。そこからいろいろな対策に活用したのですが、その中で裕樹は副交感神経が優位な投手と判断され、10人に1人の天才型と判明しました。つまり、常にリラックスした状態を保っているので、そう簡単には緊張しないし、興奮もしないタイプ。先発をやらせると、のほほんと投げてしまいがちという診断結果が出ました。どちらかというと、1点差の9回のマウンドという究極の場面でアドレナリンが一気に出るタイプなのです」

 174センチと小柄な左腕が輝ける場所。ゲームを締める重要な場面で臆せず投げ切った。同年、松井裕は33セーブをマーク。先発転向を目論んだこともあったが、19年、22年と2度、最多セーブを獲得するなど球界を代表する守護神に上り詰めた。今年はプロ10年目。節目の1年となるが、目標は「一番長く野球をやること」だという。

 「日本シリーズとかを見ていて、すごく『いいな』と思ったので。優勝して、最後まで野球をやりたい。個人的な目標としては、相手があることなのでセーブ数に関しては言い切れませんが、最低限、防御率0点台、セーブ失敗なし。あとは昨年より三振は取りたいです」

 昨年は春季キャンプで勝負球であるフォークの改良に取り組んだ。「親指の位置を少し変えて、スピード感をよりストレートに近づけたというか。軌道や球が出る瞬間の自分の中の力感が強く出せるようになったので、自分的にはそこがストレートに近づいたと感じています。それがバッターもストレートと思ってくれるボールに近づいてきているのかな、と勝手に思っています」。精度も落差も増したフォークで83奪三振をマーク。21年は59奪三振で、奪三振率は12.35だったが、22年の奪三振率は14.46で自己最高の数字となった。

 今季はここまで奪三振率は12.00。順調に三振も稼いでいる。さらにセーブも積み重ね、楽天を10年ぶりの頂点へ導いてみせる。

【文責:週刊ベースボール】