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【コラム】連続無失点イニングは20回1/3、防御率0.37――。オリックスに現れた超新星、高卒3年目右腕・山下舜平大

 「令和の新怪物」と言うべき剛腕ぶりだろう。オリックスの高卒3年目右腕・山下舜平大だ。史上初のデビュー戦だった。3月31日、西武との開幕戦(ベルーナドーム)で一軍初マウンドを踏んだが、2年目以降の投手が開幕投手でデビューは2リーグ制以降初。開幕戦は5回1/3を4安打1失点に抑え、続く4月11日の楽天戦(楽天モバイル)では5回2安打無失点でプロ初勝利をマーク。23日の西武戦(京セラD大阪)では7回3安打無失点で2勝目を挙げ、5月5日の同戦が4度目の先発マウンドとなった。

 こどもの日に3万598人の観客が集まった京セラD大阪。視線を一身に浴びた山下は立ち上がりから自己最速タイの158キロを連発するなど、力のこもったボールを投げ込む。2回二死満塁は滝澤夏央を156キロ直球で右飛、3回二死三塁でも中村剛也を156キロ直球で三ゴロに仕留める。5回も無死一、二塁のピンチを迎えたが金子侑司を空振り三振、外崎修汰を左飛、中村を遊ゴロに打ち取り得点を許さない。デビュー戦以来、得点圏の被安打ゼロを続ける右腕は7回6安打無失点で3連勝を飾った。連続無失点イニングは20回1/3に伸び、防御率0.37と圧巻のピッチングを続けている。

 「悪い中でゼロに抑えるのが先発の仕事。苦しい場面が多かったですけど、いいところで抑えられて良かったです。点をやらないのは大事だと思うので。投げ急ぐことなく、一人ひとりアウトにしていくという気持ちでした」

 2021年、福岡大大濠高からドラフト1位で入団した山下だったが、プロ2年間で一軍登板なし。昨季は腰の成長痛などでウエスタン・リーグでは4カ月間、実戦登板ができず8試合登板にとどまった。オフに両足首の手術を受け、春季キャンプも慎重に調整。だが、身長190センチ、体重98キロの恵まれた体格から投じる剛球を前面に押し出しオープン戦でアピール。開幕投手の大役をつかんだが、自身にとって大きかったのは離脱期間だったという。

 「ケガをしている期間に『考えること』『考えて行動すること』の大事さを感じたのが大きかったんです。あの期間に良い時間を過ごせたから、今があるのかなとも思っています。4カ月間、本当に何もできない中で、絶対に何かを変えて復帰したかった。『時間はたくさんある』と思ったので、イチから投球フォームを見直そうと思い、ダルビッシュ(有、パドレス)さん、大谷(翔平、エンゼルス)さんがショートアームで投げている映像を見て、『これで投げてみたらいいんじゃないかな』と思ったんです。それで投げてみたら、感覚がしっくりきたんです」

 今季、鮮やかにベールを脱いだ超新星。入団時から日本人最速165キロへの思いを口にしてきたが、目指すべき境地は少し変わってきている。

 「何キロを出しても『もういいや』とは思わないと思うんです。だから仮に165キロを出しても『もっと』と思うはず。だから、数字が出る、出ないではなくて、スピード表示ということじゃなくて、真っすぐを磨いていくことはずっと続くと思うんです」

 将来的に獲得したいタイトルは「沢村賞」。オリックスの若き剛腕の挑戦はまだ始まったばかりだ。

【文責:週刊ベースボール】