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【コラム】サイ・ヤング賞投手から圧巻の2アーチ、ナゴヤの地で目覚めた中日・細川成也

 古巣相手に自慢の長打力を発揮した。5月27日のDeNA戦(バンテリンドーム)。三番・右翼でスタメン出場した中日・細川成也は2点を追う初回、二死から左翼席へ今季4号ソロ。さらに6回一死からは右翼ポール際へ同点5号ソロをたたき込んだ。いずれも、相手は2020年ナ・リーグのサイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーだ。メジャー・リーグで実績を残した右腕からの一発で「いい投手から打てたことは自信になります」と笑顔を浮かべた細川の活躍で、チームは9回に村松開人のサヨナラ打が飛び出して今季2度目の3連勝をつかんだ。

 昨オフ、初めて開催された現役ドラフトでDeNAから中日へ。立浪和義監督からキャンプMVPに選ばれるなどアピールを続け、開幕一軍を勝ち取る。シーズンに入っても1打席に懸け、スタメンに名前を連ねるようになるとクリーンアップに定着。5月23日の広島戦(マツダスタジアム)でも同点で迎えた7回、二死一、二塁で大瀬良大地のカットボールに食らいつき、左中間を破る2点二塁打。チームの連敗を7で止める決勝打を放つなど、勝負強さを見せている。

 明秀学園日立高からドラフト5位でDeNAに入団したのは2017年だった。同年10月3日の中日戦(横浜)でプロ初打席初本塁打の鮮烈デビューを飾ると、翌日の同カードでも決勝ソロ。2リーグ制以降では高卒新人初のデビューから2試合連続本塁打を記録し、当時のアレックス・ラミレス監督も「一軍でも40本塁打を打つポテンシャルがある」とその才能に惚れ込んだ。しかし、その後は結果を残せない。二軍では19年から4年連続2ケタ本塁打を放つなど格の違いを見せたが、一軍ではチャンスをつかめずにいた。昨年も開幕一軍入りしたが、18試合で打率.053、1本塁打、1打点に終わっていた。

 「二軍の帝王」のレッテルから抜け出せない中で、巡ってきた中日への移籍。「自分の中では前向きでした。来年からドラゴンズで頑張ってやっていこうと、それだけです」と細川も求められての移籍に気持ちを新たにしていた。新天地で幕を開けた7年目。ゼロからの出発とばかりに背番号「0」を背負ったが5月29日現在、自己最多を更新する43試合出場で打率.340、5本塁打、23打点と見事な成績を残している。好調の要因として本人は「キャンプから和田さん(一浩打撃コーチ)をはじめ、いろいろと指導していただいて、そのときからずっとやってきたことを変えずに継続しているので、そういったことが少しずつ実を結んで、成果として出るようになっているのかなと思っています」と語る。

 具体的に変えずにやっていたことは「タイミングの部分」だという。

 「タイミングの取り方だったり、始動だったり、いろいろと。それでもまだ合っていない部分はありますけど、少しずつそれが合うようになってきて、だからしっかりと勝負できているのかなと自分の中では思っています」

 今季の具体的な目標を問うと「特にこれというのは……」と言い淀んだが、「今は試合で使ってもらっているので、この舞台でケガなく、必死にやっていくことだけです」ときっぱり。さらに「それでシーズンが終わったときに、どれくらいの数字を残せるだろうかというのが楽しみであるという感じです。とにかくアピールを続けて、このチャンスをモノにしたいと思っています」と続けた。

 ナゴヤの地で目覚めた大砲の本格覚醒は続いていくのか。チームの勝利のためにバットを振る男の目の輝きを見れば、それは実現するだろうと思わされる。

【文責:週刊ベースボール】