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【コラム】セ2位タイの14セーブを挙げるヤクルト・田口麗斗、新守護神は「誰かのために」という感情で力を発揮

 慌てることなく、スコアボードにゼロを刻んだ。6月11日の西武戦(ベルーナドーム)、ヤクルトは先発の小澤怜史が6回4安打1失点と好投。7回は星知弥が無死満塁のピンチを招き、代打・平沼翔太に左犠飛を浴びて1点差に迫られたが、一死一、二塁から登板した木澤尚文が追加点を与えず逆転を許さない。8回は清水昇がゼロでしのぎ、3対2の9回、マウンドに上がったのは守護神の田口麗斗だった。

 先頭打者の古市尊はスライダーで二ゴロ。しかし、続く平沼にはフォークをセンター前に運ばれ、走者を背負う。沸き上がる西武ファン。しかし、田口は意に介さない。若林楽人に対しては外角高めへのシュート、ストレートで空振りを奪う。あっという間に追い込んでからの3球目。内角低めのスライダーを打たせると、打球は三塁線へ。三塁手の村上宗隆が巧みにさばき、二塁、一塁へとボールが送られ、ゲッツーが完成。ガッツポーズで喜びを表した田口は、満面の笑みを浮かべた。これで山﨑康晃(DeNA)の15セーブに次ぎ、マルティネス(中日)と並ぶセ・リーグ2位タイの14セーブ。10年目で守護神の座に就いた左腕が新ポジションで役割を全うしている。

 2021年3月に巨人からヤクルトへトレード移籍。過去2年はリリーフとして腕を振ってきた。今季は4月1日、開幕2戦目の広島戦(神宮)で初登板。1点リードの9回だったが三者凡退に抑え、セーブをマークした。試合後、髙津臣吾監督は「一番、良い収まりなんじゃないかという判断」と口に。2年連続30セーブ以上を挙げたマクガフがメジャー移籍で空いた守護神の座に田口を起用していくことを明言した。

 巨人時代の16、17年には先発を務め、2年連続10勝をマーク。そのときの経験が今に生きているという。

「先発時代はリズムを考えながらストライク先行でゲームメイクをしていましたが、リリーフになってもストライクゾーンで勝負しなきゃいけない場面はもちろんある。そのときに先発をやってきて良かったなって。ピッチャーとして一番大事であるストライクゾーンに投げ込むというスキルが先発時代に磨かれていったので」

 守護神として大事にしていることは「相手に得点を越されない」ことだ。

「例えば1点差で勝っていたら、1点を取られても負けではない。相手に追い越されないように意識して投げています。あとは、打たれても切り替えること。また、自分の感情だけでいかないっていうのを大事にしていますね。僕自身がベストを尽くすのはもちろんのことなんですけど、ただ自分のために腕を振るのではなくて、チームのために、そこまで試合をつくり上げてくれた先発投手、中継ぎ投手のためにも、つくってきたものを壊したくないっていう気持ちで投げる。誰かのためにという感情で投げるときのほうが、僕はいいパフォーマンスを発揮しやすいので、そこは大事にしていますね」

 今季は守護神転向に加えて、投手キャプテンにも就任。新境地を開くシーズンとなっている。

「目の前の1勝をつかむためにチーム全員が一生懸命プレーしているので、試合に投げなくても、その輪に入って勝利を一緒に分かち合えるようにしたい」

 チームは下位に沈むが前を向き、持ち前の明るさを生かして投手陣を束ねていく。

【文責:週刊ベースボール】