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【コラム】チームに6連勝を呼び込んだ無四球完封勝利、危機感から自己変革を果たした広島・九里亜蓮

 チームに今季最長の6連勝を呼び込んだ。6月30日のヤクルト戦(神宮)。広島先発の九里亜蓮は雨が降りしきる悪コンディションにも動じず、自分のピッチングを貫いた。テンポ良く、ストライク先行で打者を抑え込む。3ボールはわずか2度。9回5安打無失点で今季2度目の完封勝利を、自身2度目の無四球で飾った。

「チームも連勝していたのでいい流れに乗り、野手も早い回に点を取ってくれ、いいピッチングができたと思います。一人ずつと勝負していきながら、一つひとつのアウトを積み重ねていこうと思った結果、最後まで投げられて良かったです」

 危機感が体を突き動かした。2021年に最多勝を獲得し、タイトルホルダーとして臨んだ昨季は前年の白星の半分にも満たない6勝にとどまり、9敗は自己ワーストタイ。中継ぎへの配置転換も経験し、3年総額6億5000万円(金額は推定)という大型契約の1年目を「不甲斐ないというか、悔しい」と唇を噛んで振り返った。

 このままではいけない――。変革へ向けて、オフには新型コロナ禍前の19年以来、3年ぶりのアメリカ自主トレを敢行。大谷翔平(エンゼルス)も使うアリゾナ州の施設「ドライブライン・ベースボール」でトレーニングに励んだ。最先端の機器を使った動作解析が主な目的だった。

「日本の野球と、アメリカのメジャー・リーグの野球というところで、まず考え方がまったく違いました。自分のフォームを、センサーをつけて分析したりするのですが、そういうのを今までちゃんとやってきたことがなかったので。実際にやってみると、やっぱり直すべき点というのが何個も何個も出てきました。自分の体、膝やグラブの使い方など、本当に細かいところをいろいろ知ることができました。毎日、いろいろなことを勉強しながら、いい時間、いい1カ月になったと思います」

 7月2日現在、リーグ3位タイの6勝を挙げ、同2位の防御率1.76をマーク。九里自身は「ドライブラインで学んだことを全部できているかって言ったら、できているわけでもないんですよ」と納得していないが、数字を見れば進化の過程をたどっているのは一目瞭然だ。

 マウンド上で、堂々としている姿も印象的だ。

「変にいろいろと考えないようにはしています。練習のときはいろいろなことを考えながらやるんですけど、試合になったらバッター一人ひとりと勝負していった中で、どういう結果が出るか。変にフォアボール、フォアボールとなって、振り返ったときに何もできない投球をするより打たれたほうがいいと思っている。打たれたほうが反省もできますから。課題も出るし、また同じ相手と対戦するときに、こういうことがあったから、次はこうしようとか、いろいろなものが見えるので」

 チームは首位・阪神と3.5ゲーム差の3位。5年ぶりの優勝を成し遂げる可能性は十分にある。上位に追いつき、追い抜くために必要なことは――。

「自分自身は変わらず、チームが勝てるようなピッチングをする。それを1試合でも多くすることによって、勝利に貢献できるように。それが一番大切かなとは思います」

 16年から18年のリーグ3連覇を知る右腕が先発陣の先頭に立って、チームを上昇気流に乗せる。

【文責:週刊ベースボール】