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【コラム】逆転された直後に飛び出したロッテ・山口航輝の同点弾、無欲のスイングが18年ぶりの優勝を呼ぶ

 22歳の若き主砲のひと振りでチームが再び活気づいた。7月23日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)、ロッテは6回に先発・小島和哉がアストゥディーヨに逆転2ランを浴びたが、その裏、だ。二死から打席に入ったのは山口航輝。カウント1-1から大津亮介が投じた高めに浮いたスライダーを見逃さなかった。フルスイングでとらえた打球は左中間席へ一直線。17日ぶりの9号ソロは値千金の同点弾となった。

「当たりは完璧でした。ただ、ちょっと弾道が高かったので、風で戻されると思って心配でしたが、入ってくれてよかったです」

 この日は今季の主催試合の観客動員数が100万人を突破。41試合目での大台突破は史上最速だったが、打ち上がる花火とファンの大歓声を浴びながらダイヤモンドを1周した山口は誇らしげな表情を浮かべた。試合は延長10回に安田尚憲のサヨナラ打が飛び出してロッテが4対3で勝利。後半戦連勝と好スタートを切ったが、山口の一発が試合の行方を左右したのは間違いない。

 昨季は102試合に出場し、16本塁打をマーク。大器の片りんを見せ、2023年の本格開花が期待された。目標をシーズン30本塁打に設定して自主トレから豪快な打撃に磨きをかけた。しかし、キャンプ中の対外試合から結果を残したが、オープン戦終盤に失速。ソフトバンクとの開幕3連戦(PayPayドーム)でも、11打数2安打7三振と苦しんだ。その後も調子が上がらず4月末に登録抹消。約1カ月の二軍調整を強いられた。

「最初はホームランの数にこだわってスタートしましたが、今はこういう数字なので、今後は打点を意識していきたいですね。得点圏のチャンスで打つようにして、チームに貢献したいです」

 その言葉どおり、7月23日現在(以下同)、得点圏打率は.340をマーク。本塁打も4本放ち、31打点をたたき出している。通算打率は.230だからチャンスの場面で突出した勝負強さを発揮。その秘訣を問うと、山口は次のように答えた。

「普段とあまり変わらないんですよ。そういう場面であっても、特に意識はしていません。最低限、犠牲フライでいいかなと。そういう気持ちで打席に立っています。あまり欲を出さずに、やるべきことをやろうと集中していたときのほうが、うまくいくことが多いですね。気負い過ぎず、どうしたら役に立つのかということを少しだけ考えるようにしています」

 今季から吉井理人監督が就任したが「打てないとき、苦しいときに、よく話し掛けてもらうので、それによって気持ちが楽になることが多いです」と感謝する。ロッテは首位・オリックスに3.5ゲーム差の2位。18年ぶりのリーグ優勝へ、山口の力が必要なのは言うまでもない。

「僕自身は目の前の1試合1試合を戦っていくのが精いっぱいで、それしか見えてない。その結果、ほかのチームより1つでも多く勝てば最高の結果になるわけですからね」

 無欲のスイングがチームの、そしてファンの夢をかなえる。

【文責:週刊ベースボール】