• セントラル・リーグ
  • 阪神タイガース
  • 広島東洋カープ
  • 横浜DeNAベイスターズ
  • 読売ジャイアンツ
  • 東京ヤクルトスワローズ
  • 中日ドラゴンズ
  • パシフィック・リーグ
  • オリックス・バファローズ
  • 千葉ロッテマリーンズ
  • 福岡ソフトバンクホークス
  • 東北楽天ゴールデンイーグルス
  • 埼玉西武ライオンズ
  • 北海道日本ハムファイターズ
  • 侍ジャパン

日本野球機構オフィシャルサイト

ニュース

NPBニュース

【コラム】ソフトバンクの悪夢を止めた有原航平の投球、「1球」を大切にV戦線で腕を振り続ける

「僕から始まった連敗。球数が増えても絶対に最後まで投げるという気持ちでした」

 7月7日の楽天戦(楽天モバイル)に先発した有原航平は初回にいきなり5点を失うなど、7回6失点で負け投手に。しかし、ただの敗戦とはならなかった。ソフトバンクはここから勝利を手にできない長いトンネルに入ってしまう。24日のロッテ戦(ZOZOマリン)では1対0の9回裏、絶対的守護神のオスナが角中勝也に代打逆転サヨナラ弾。南海時代の1969年以来、54年ぶりの12連敗と悪夢が続いてしまった。

 負の連鎖を断ち切る。25日のオリックス戦(京セラD大阪)、強い決意を持って先発マウンドに上がった有原は気合十分のピッチングを見せた。3回まで毎回、走者を許すも併殺打で切り抜けると5回は頓宮裕真、宗佑磨、杉本裕太郎を3者連続三振に。低めにフォークを集め、オリックス打線に三塁を踏ませず、9回6安打11奪三振で3年ぶりの完封勝利をマーク。相手エースの山本由伸に投げ勝ち、チームの連敗を12で止めた。

「とにかくチームが勝てたことがうれしい。(甲斐)拓也もうまくリードしてくれ、守ってくれたチーム全員の勝利です」

 2015年、早大からドラフト1位で日本ハムに入団。1年目から先発ローテーションに入り、19年には15勝で最多勝を獲得した。20年オフにポスティングシステムで日本ハムからMLBレンジャーズへ移籍。2年間をアメリカ球界で過ごし、今季3年ぶりに日本球界へ復帰した。だが、開幕は二軍スタートに。ウエスタンの8試合では2勝、防御率3.83と結果を残せていなかったが、6月に一軍昇格後は、その実力を存分に発揮した。7月31日現在、7試合に登板して4勝、防御率1.92。一軍では二軍とは別人のようなピッチングを見せ、先発陣の柱の1人として欠かすことのできない存在となっている。

「みんなそうだと思いますが、やっぱりこの舞台(一軍)になると、お客さんの数も違いますし、自然と力が入ってくる。そこまで意識自体はしていないんですけど、周りの選手たちからも違って見えるようで、そういうふうに言われることは多かったですね(笑)。でも別に、一軍だからこう、二軍だからこう、というのはないです。ただ、この緊張感とかって一軍でしかないので。その中で力を発揮できているのは、今のところいいかなと思います」

 先発マウンドに上がる際、心掛けているのは「1イニングでも長く投げること」。ここまで最短で降板した試合でも6回と十分に役割を果たしている。だが、その中でも反省は忘れない。

「やっぱり先に点を取られている試合も多いですし、流れを完全にこっちに持ってこられている試合というのは、そんなにないので。そこは今後の課題かなと思います」

 シーズンも終盤戦に突入していくが、激しい優勝争いを勝ち抜くためにやるべきことは心得ている。

「本当に1点がかなり大事になってくると思います。僕だったら立ち上がりの1点だったり。だから、1球1球を大切にしていかないといけない、というのは再認識していますね」

 経験豊富な頼もしい右腕が、ソフトバンク投手陣をけん引していく。

【文責:週刊ベースボール】