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【コラム】育成ドラフト出身では2人目のノーヒットノーラン、「うまくなること」だけに集中するソフトバンク・石川柊太

 両リーグ通じて今季初の大記録が飛び出した。8月18日の西武戦(PayPayドーム)、ソフトバンク先発の石川柊太は持ち味のテンポのいい投球で西武打線を抑え込む。ストレート、カーブを軸に8回まで安打を許さない。9回も先頭の蛭間拓哉を空振り三振、平沼翔太に死球を与えたが、西川愛也も空振り三振に仕留める。大記録まであと一人。打席には歴代12位の466本塁打を誇る中村剛也が入った。だが、石川は慌てない。この試合127球目の初球、外角低めのカットボールで一塁ゴロに斬って取り、史上88人目、99度目のノーヒットノーランを達成した。ソフトバンクでは前身球団を含めると4人目。育成ドラフト出身では2019年9月6日のソフトバンク・千賀滉大(現メッツ)以来2人目の偉業だった。

「本当に忘れられない瞬間。一緒にいてくださったファンの皆さんに感謝したい」と笑顔を浮かべた石川だが、9回のマウンドは想像以上だったという。「1球、1アウトごとに歓声が上がるなど、いつもとは違う異様な空気でした。球場の雰囲気がだんだんと盛り上がっていくというか、舞い上がっていくというか……」。だが、その雰囲気にのまれることはなかった。「自分はアウトを取るだけ。それにピンチのときの敵の応援は圧倒されるというか、すごい雰囲気ですけど、それとは逆なので。自分を応援してくれているわけですから」。ファンの後押しを受けたからこそ、偉業を成し遂げることができた。

 2回に一挙5点を挙げるなど、味方打線が8点を積み重ねてくれたことも大きかった。

「野手の方に点を取ってもらって気持ち良く投げることができました。どうしても僕はポンポン投げたいですから。相手打線も得点が開くと淡泊な攻撃になりがちですから、そういった面でも助かりました」

 8月18日の登板前までは16試合に投げ、3勝5敗、防御率3.84。千賀がメジャーへ旅立ち、今季は先発陣をけん引する働きが期待されたが物足りない成績に終わっていた。だが、「野球がうまくなりたい」という情熱が衰えることはなかった。

「いいボールを投げられるか、相手を抑えるボールを投げられるか。常日ごろから自分がうまくなる、うまくなっていくんだと集中することが一番のモチベーション。そのことに、いつも以上に集中し始めてから、ちょっとずつ安定はしてきたかなとは思います」

 ノーヒットノーラン達成の翌朝、千賀からメッセージが届いたという。

「来ましたね。『Congratulations』って。完全にアメリカナイズされていますよね(笑)」

 さらに、「次の登板もお願いします。連続はなかなかできない」という“注文”もされたが、石川本人は「良かったところは良かったところで伸ばして、良くなかったところ、反省するところを修正するだけ、です」と冷静に次回登板を見据えている。

「先発としてできることは1週間に1回の登板しかない。そこでどうにかするしかないというところは、すごく悔しい。もっと貢献したいなと思う部分もあります。ただ、自分のできるところで、できることをするだけ、なんですよね」

 現在3位のソフトバンク。シーズン終盤となっているが、上位進出に向けて石川は一戦集中で投げ抜く。

【文責:週刊ベースボール】