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【コラム】中日・大島洋平が史上55人目の通算2000安打達成、「3年先を見て練習している」意識の高さ

 ライナー性の強烈な打球がセンター前で弾んだ。8月26日のDeNA戦(バンテリンドーム)。3回一死一塁で打席に立った中日の二番・大島洋平が石田健大の初球、139キロ直球をたたいた。「基本に忠実なセンター返しだったと思います」。それは大島にとっても、ファンにとっても待ち望んだ一打だった。新人時代の2010年から14年にわたって積み上げた安打数が2000に到達。史上55人目の大記録だが、1787試合目での到達は谷沢健一を抜いて球団最速、史上9位のスピード記録だ。さらに大学を経た社会人出身者では古田敦也、宮本慎也(ともにヤクルト)、和田一浩(中日)に次ぐ4人目の快挙だった。

「中日に入って2000安打を打った選手を間近で見て、そこに行きたい目標は掲げていました。これまで使っていただいた監督、コーチにすごく感謝していますし、元気に送り出してくれるトレーナーさんや裏方の皆さんのおかげ。自分一人では達成できませんでした」

 名古屋市で生まれ育った大島。幼少期には親によくナゴヤ球場に連れて行ってもらい、中日戦を観戦したという。享栄高、駒大を経て日本生命から24歳のときにドラフト5位で中日へ。入団会見では結婚して生まれたばかりの長男を抱えて写真撮影し、「小さいころからあこがれていた球団に入団できてうれしい。できるだけ早くレギュラーを獲りたい。将来は立浪(和義)さんのように40歳まで野球を続けたい」と誓っていた。

 3年目に初のフル出場を果たし、172安打をマーク。そこから今年まで12年連続で100安打以上をクリアしている。大島が常人離れしているのは年齢を重ねてから、さらに数字を伸ばしているところだ。33歳シーズンの19年から2年連続で最多安打のタイトルを獲得。常に「3年先を見て練習している」という意識の高さが、その要因だ。ウエートトレーニングによる肉体改造も転機となった。15年から駒大野球部の同期である土田和楙さんを個人トレーナーとして迎え入れ、興味の薄かったウエートトレーニングに注力。強い体が徐々に作り上げられていった。

 2000安打まで残り115安打で迎えた今年も記録達成へ着実に準備を進めてきた。年明けは例年どおり、大阪にある古巣・日本生命の施設で後輩の高橋周平らと始動。昨年1月に150キロのバーベルで実施していたスクワットが年末の段階で、すでに170キロ×10回をクリアし、自主トレでは180キロまで達した。さらに、今年のテーマを「目」に定めた。視覚でとらえ、脳が判断し、筋肉にどう動くか指令を出し、その結果として体は動く。数秒ごとに光るボード上のランプをタッチする動作を繰り返し、伝達スピードの維持を狙った。

「体が続く限り、2500、3000を目指したい。1本でも多くヒットを打ちたいですね」と先を見据える大島。サプライズで登場し、花束を手渡した享栄高時代の恩師・柴垣旭延さんも「まだ5年はできると思っている。球団記録である立浪監督の安打数(2480)を目指してほしい」と期待をかける。

 今年11月で38歳になるが、体の衰えはまったく感じていない。竜の安打製造機は巧みなバットコントロールを駆使して、まだまだ安打を量産していく。

【文責:週刊ベースボール】