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【コラム】3連覇に感情を爆発させたオリックス・山﨑颯一郎、「中継ぎは刺激的」と語るリリーフ右腕

 その瞬間、喜びを爆発させた。オリックスが優勝マジック2で迎えた9月20日、2位・ロッテとの直接対決。6対2と4点リードした9回表、マウンドに上がったのは山﨑颯一郎だった。先頭の友杉篤輝を遊ゴロに仕留め、続く荻野貴司には中前打を浴びたが、岡大海は遊ゴロで二死。ブロッソーは3球ストレートでカウント1-2と追い込む。4球目。バッテリーが選択したフォークにブロッソーのバットは空を切り、オリックスが3連覇達成。パ・リーグでは1990年から94年に5連覇した西武以来の快挙だった。

 オリックスファンの大歓声に包まれた京セラドーム大阪の真ん中で、山﨑颯は雄たけびを上げ、高々とグラブを放り投げた。そして、マウンドに突進してきた捕手の森友哉と抱き合う。そこにベンチから、グラウンドからナインが押し寄せ、歓喜の輪が出来上がった。「絶対決めてやるというぐらいの気持ちでいきました。気持ち良かったです、すごく」と感激の面持ち。今季は優勝時点でチームトップの52試合に登板し、1勝0敗27ホールド、9セーブ、防御率1.05。勝ちパターンの一角を担った25歳右腕は紛れもなく、優勝の立役者だった。

 今季は悔しさからのスタートだった。3月のワールド・ベースボール・クラシックの日本代表に追加招集されたが、未登板に終わった。「一番悔しかったですね、今までで」と振り返るが、無念が原動力となったのは間違いない。さらに一流選手と過ごした経験は得難いものだった。シーズンではリリーバーとしてフル回転。主にセットアッパーとして登板しつつ、クローザーの平野佳寿が連投回避の日は、9回のマウンドにも上がった。

 最速160キロ、平均球速153キロを誇るストレートで打者をねじ伏せる。山﨑颯の武器に関して最強ブルペン陣を形成する同級生右腕・宇田川優希は「ソウイチの真っすぐは強い。本当に打たれるのを見ない。ストレッチの入念さにも感心させられるけど、それが投げるボール、スピードに表れていると思う。準備の賜物です」と称賛。さらに「球威は勝てません。昨年までは同じくらいの球速だったから、負けられないと勝手に対抗心を燃やしていましたが、今年はあきらめました」と笑いながら、白旗をあげた。

 山﨑颯自身、リリーフのやりがいは誰よりも感じている。

「ヒリついた感じ、重圧が大きいからこそ、抑えたときは気持ちが良いです。先発は自分で試合をつくっていきますが、中継ぎは1イニング、投げて2イニング。それも1点差とかヒリヒリした場面で抑えると球場も、ベンチも盛り上がる。中継ぎは刺激的ですね」

 シーズンを制し、これから待ち受けるのはポストシーズンだ。負けられない試合が続く短期決戦。だが、昨年クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズで登板し、「今までどおり」が大事だということが分かっている。

「大舞台になればなるほど特別すごい投球をしようなんて思わないこと。三振を取ろうとか、3人で終わらせようとか。変に意識しなくても、自然と気持ちが高ぶってしまうものですから」

 極めて自然体で短期決戦に臨む背番号63。雄たけびをあげる姿が、CSで、日本シリーズで再び見られるかもしれない。

【文責:週刊ベースボール】