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【コラム】巨人に引導を渡す見事なピッチング、“横軸”に変えて進化したDeNA・東克樹

 4位・巨人に引導を渡すピッチングだった。9月26日の巨人戦(横浜)。DeNA先発の東克樹がマウンドで仁王立ちした。2回に一死満塁のピンチを招くも吉川尚輝、山﨑伊織を連続三振。3回も一死一、二塁と攻め立てられたが四番・岡本和真を遊飛、五番・大城卓三を左飛で得点を許さない。4回以降は走者を許したのが一度だけ。8回を投げ、5安打6奪三振無失点の好投で1対0の勝利に貢献した。1983年の遠藤一彦に並ぶ球団記録の12連勝を飾り、最多勝を確定させる16勝目をマーク。同日時点で3位のチームはクライマックスシリーズ進出へのクリンチナンバーを「1」とした。

「押すところは押す、かわすところはかわす。メリハリの利いたピッチングができました。苦しいイニングもありましたが、イニング間に(捕手の山本)祐大がまるでお母さんのように“次はああしろ、こうしろ”と指示をくれたので。今日も祐大のおかげだと思います」

 見事に復活を果たした。2018年、立命大からドラフト1位でDeNAに入団すると1年目に11勝を挙げて新人王を獲得。輝かしい未来を期待されたが左肘痛に悩まされ、翌年から暗転。19年は4勝に終わり、20年2月にはトミー・ジョン手術を受けた。21年9月に一軍で復帰マウンドに上がったが、22年は1勝6敗、防御率4.62と結果を残せなかった。

 何かを変えなければいけない――。着手したのはフォーム改造だった。オーバースローからスリークオーター気味に腕を下げた。

「入団してからずっと、上から腕を振り下ろすような体の使い方をしてきたんですけど、左肘のトミー・ジョン手術を経て体つきが変わり、自然と体の軸も変化していました。にもかかわらず昨年は過去の自分と重ね合わせて、無理やり縦に投げ下そうとしてしまい苦労したんです。今季はそこをかなり変えて、体の使い方を横軸に近づけています」

 その結果、球質にも変化が生じた。直球の平均球速は昨年の143キロから145キロにアップ。さらにシンカー気味のツーシームも武器に加わり、心強い球種となった。

「球速も肘の状態が良くなってきたというよりは、変化した体に合ったフォームで投げられていることで、自分の本来持っている力を出せるようになったというイメージですね。ツーシーム自体も大学時代から投げていた球種なのですが、指への負担が大きく、プロに入ってからは投げなくなっていました。でも、腕のアングルを変えたことで投げやすくなり、変化量も増しました。同じように、スライダーも変化が大きくなって安定感が出たと思います」

 メンタル面の強さも増した。昨年はピンチの場面で「打たれたらどうしよう」とマイナス思考に陥り、それが表情にも表れていた。しかし、今年は場面を問わず、常に堂々と「自分が勝ってやる」という強い気持ちを持って投げられるように意識を改革した。

 シーズン終了後には日本一を目指す戦いが始まる。覇権を手にするためには東の力が必要だ。ポストシーズンでもチームのために目いっぱい左腕を振り、ペナントで成し得なかった頂点へ駆け上がる。

【文責:週刊ベースボール】