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【コラム】“7度目の挑戦”でプロ初の2ケタ勝利をマーク、原監督ラストゲームを完封で飾った巨人・山﨑伊織

 待望の勝利をつかんだ。チームの今季最終戦となった10月4日のDeNA戦(東京ドーム)。巨人先発の山﨑伊織はDeNA打線を9回2安打無失点に抑え、2回に挙げた1点を守り切りプロ初完封勝利をマーク。最多勝を確定させていた東克樹に投げ勝ち、規定投球回もクリア。約2カ月ぶりの白星だったが、“7度目の挑戦”でプロ初の2ケタ勝利に到達した。

「9勝で終わるのと10勝で終わるのとでは、すごい違いだと思います。本当に勝ててうれしい」

 初回、先頭の林琢真に右前打を浴び一死二塁のピンチを背負ったが、大田泰示を三直、牧秀悟を中飛に仕留めて無失点で切り抜ける。2回一死からソトを空振り三振に斬って取ると、そこから5者連続三振。最速152キロの直球にフォーク、カットボール、スライダー、ツーシーム、カーブと多彩な変化球を効果的に交えた。林に安打を許して以降は8回まで「H」ランプを灯させない圧巻のピッチング。9回は先頭の代打・楠本泰史に左前打され、続く代打・柴田竜拓の投犠打を自らエラー。無死一、二塁と攻め立てられたが、落ち着いて後続を断った。試合後の最終戦セレモニーでは原辰徳監督が今季限りでの退任を表明。東海大の先輩でもある指揮官に「来年優勝して、『優勝しました』と言えるように頑張りたいと思います」と誓った。

 大学時代の2020年6月に右肘のトミー・ジョン手術を受けながら、同年秋のドラフトで2位指名。入団1年目に投げられない大学生に異例といえる上位指名だったのは、高いポテンシャルが評価されたからだ。当時の球団首脳は「来年のドラフト1位を2人獲得できた」と語っていた。プロ1年目はリハビリに専念。「手術を受けてからはとにかく『投げられるようになりたい』という一心でリハビリに取り組むことができたんですけど、いざ投げられるようになったときのほうが難しかったですね。投げたら痛みが出るというのは聞いていたので覚悟はしていたんですけど、投げ始めてみたら全然思うようにいかなくて。どうしても昔の自分と比べてしまう。全然思ったようなボールが投げられない。『なんでだろう』と思う日々が本当にしんどかったです」。

 その苦しみを乗り越え、2年目の昨季は5勝を挙げた。だが、1試合の球数は100球未満をメドとしながら、定期的に登板間隔を空けるなど右肘の負担を軽減するための制限があった。今季はそれらを解除。春季キャンプ第1クールで故障離脱したものの、4月19日のDeNA戦(佐賀)で今季初登板初勝利を飾ると、以降は戸郷翔征とともに先発ローテーションを引っ張った。7月は4戦4勝、防御率1.91で自身初の月間MVPを受賞。「コンディションが良くなり、投げているボールは去年より全然いいと思います」と満足げな表情を浮かべていた。

 原辰徳監督も「あまり小細工に走らずに力投でき、汗を流せる。非常に成長した投手だと思う」と手放しで称賛する若き右腕。チームは2年連続でBクラスに終わり、来季は阿部慎之助新監督の下、巻き返しを図る。4年ぶりのV奪回は至上命令。山﨑伊はさらに進化した姿で腕を振る。

【文責:週刊ベースボール】