【パCSファーストS展望】最終戦で2位確定のロッテ、ソフトバンクは「短期決戦の強さ」発揮できるか
パ・リーグのCS争いは最後までもつれた。ロッテは勝てば2位、負ければ4位が決まる10月10日のシーズン最終戦・楽天戦(楽天モバイル)で5対0と快勝し、2位が確定。14日に開幕するCSファーストステージで、3位のソフトバンクを本拠地・ZOZOマリンで迎え撃つ。
9月に故障者や体調不良の選手が続出し、月間成績7勝16敗と大失速したが、リーグ3連覇を飾ったオリックスに夏場まで食らいついた。個々の能力、選手層の厚さで、オリックスやソフトバンクに見劣りすることは否めないが、吉井理人新監督のマネジメント能力、ベンチワークが光った。
プロ4年目の佐々木朗希が7勝4敗、防御率1.78をマーク。7月中旬に左内腹斜筋損傷で7月下旬から約1カ月半の期間を戦線離脱したことが大きな痛手となり、チームも失速したが前半戦は投手陣を牽引した。先発陣は種市篤暉が自身初の10勝に到達し、小島和哉は夏場以降に調子を上げて10勝をマーク。救援から配置転換された西野勇士も8勝と輝きを取り戻した。「移籍組」の活躍も目立った。西村天裕、澤村拓一、坂本光士郎、澤田圭佑が救援陣を支え、新外国人右腕のペルドモはリーグトップの41ホールドをマーク。打線ではポランコが26本塁打で来日初のタイトルを獲得した。巨人からシーズン途中で加入した石川慎吾は打率.348、2本塁打と勝負強い打撃で救世主となった。
チーム防御率3.40はリーグ5位、505得点はリーグ4位と際立った数字ではないが、接戦をしぶとくモノにする。相手球団からすれば戦いにくいチームだろう。2010年にシーズン3位から「史上最大の下克上」で日本一に上り詰めたように、短期決戦に強い。直近では21年にCSファーストステージで楽天に1勝1分で勝ち上がると、ファイナルステージでオリックスに敗れたが、第1戦が0対1、第2戦が0対2、第3戦が3対3といずれも接戦だった。
今年のCSファーストステージで、注目されるのは佐々木朗の登板だ。発熱のため9月24日に特例「2023」で登録抹消に。実戦登板から離れており無理はさせられないが、先発、救援で登板するようであれば球場のボルテージが一気に上がる。
3年連続V逸となったソフトバンクは、昨オフに近藤健介、嶺井博希、有原航平、オスナ、ガンケルなど投打の即戦力を獲得する大型補強を敢行したが、実らなかった。春先から順調に白星を積み重ね、一時は最大貯金15に増やして首位に立ったが、7月中旬から54年ぶりの12連敗を喫して優勝争いから脱落したことが大きく響いた。8月以降も貯金を増やせず、CSに進出するのが精一杯だった。
悔しいシーズンとなったが、CSで下克上に燃えている。打線は中軸を担う近藤、柳田悠岐に好機を作って回せるかがカギを握る。近藤は打率.303、26本塁打、87打点をマークし、自身初の本塁打と打点の2冠王に輝いた。柳田はそれには及ばなかったが、打率.299、22本塁打、85打点とポイントゲッターの役割を果たした。536得点はリーグトップ。今宮健太、中村晃、甲斐拓也、周東佑京ら黄金時代を経験した選手たちがそろっており、短期決戦の戦い方は心得ている。
投手陣は規定投球回到達した投手がゼロだった。絶対的エース・千賀滉大が昨オフにメッツに移籍した穴を埋められなかった。先発の軸として期待された石川柊太、東浜巨が好調を維持できず、大関友久もコンディション不良や故障の影響で5勝に終わった。CSファーストステージはスチュワート・ジュニア、有原の先発が有力。有原は開幕二軍スタートだったが、6月に一軍昇格すると10勝5敗、防御率2.31と安定感抜群だった。救援陣のチーム防御率2.68はリーグトップ。先発からシーズン途中に救援に配置転換された藤井皓哉、松本裕樹、津森宥紀、嘉弥真新也、大津亮介、甲斐野央とさまざまなタイプの投手をそろえ、9回は絶対的守護神・オスナが締めくくる。先発がきっちり試合をつくり、強力救援陣にバトンを渡したい。
ソフトバンクもロッテ同様、短期決戦の強さに定評がある。17年から4年連続日本一を飾ったが、18、19年はシーズンで西武にリーグ連覇を許し、2位からCSファイナルステージを勝ち上がり、日本シリーズでも相手を圧倒する戦いぶりを見せた。今年のCSは敵地での戦いが続くが、下克上を果たせるか。
【文責:週刊ベースボール】