【パCSファーストS回顧】1勝1敗で迎えた最終決戦…2位・ロッテが劇的なサヨナラ勝利で3位・ソフトバンクを破りオリックスへの挑戦権を手に入れる
パ・リーグの「2023 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファーストステージが10月14日からZOZOマリンで開催され、2位・ロッテが2勝1敗で3位・ソフトバンクを下し、ファイナルステージ進出を決めた。
第1戦、ロッテの先発マウンドに上がったのは佐々木朗希だった。発熱による休養明けで約1カ月ぶりの実戦。「ぶっつけ本番」だったが、初球から161キロをマークして三者凡退に抑えるなど、いつものようにパワーピッチングでソフトバンク打線を圧倒していく。味方打線も気合が入る。初回、荻野貴司がソフトバンク先発のスチュワート・ジュニアから先頭打者本塁打を左翼席にたたき込む。「大事な試合だったので、チームに勢いをつけたかった。ストライクが来たら思い切っていこうと思っていた」。二死後、四番のポランコも右中間へソロ本塁打を放ち、俄然ロッテが勢いづいた。
佐々木朗は当初の予定どおり3回限りで降板したが、4回に登板の中村稔弥が一死一塁から柳田悠岐、近藤健介からツーシームで連続空振り三振を奪うなど2回無失点の好リリーフ。三番手の坂本光士郎は2点を失ったが四番手・西村天裕、五番手・澤田圭佑、六番手・澤村拓一は無失点投球。打線も3回に2点、6回に3点、8回に1点と効果的に中押し、ダメ押しで得点を奪い、終わってみれば8対2と快勝でロッテが初戦を制した。
第1戦に敗れ、あとがなくなったソフトバンク。第2戦は初回、二死二塁から四番・近藤の左前適時打で1点を先制する。しかし、その裏にロッテは藤岡裕大、角中勝也の連打で一死一、三塁とするとポランコがセンターへの犠飛。ロッテも四番がきっちりと仕事を果たし、すぐさま同点に追いついた。
試合の主導権を握るのは、どちらか。早い段階での追加点が試合の流れを左右しそうだったが、チャンスをつかんだのはソフトバンクだった。3回、先頭の三森大貴が一塁線を破る二塁打で出塁すると、一死三塁で柳田がロッテ先発・西野勇士の内角低めスライダーを窮屈な態勢になりながら強振。フラフラと上がった打球は左翼線の内側にポトリと落ちる適時二塁打に。2対1と勝ち越して、さらに一死二塁で近藤は二ゴロに倒れるも二死三塁で中村晃が外角高めスライダーをしぶとく中前に運び3対1とリードを広げた。
初回に1点を失ったソフトバンク先発の有原航平だが2回以降は二塁すら踏ませない投球。今季はロッテ戦で3勝、防御率2.11の好相性をCSでも発揮して6回1失点と好投を見せた。7回以降は藤井皓哉、松本裕樹、オスナの継投で2点差を死守。ソフトバンクは1勝1敗のタイに戻した。
第3戦は劇的なドラマが最後に待っていた。ロッテは小島和哉が6回1/3、ソフトバンクは和田毅が5回を無失点と両先発が試合をつくり、リリーフ陣も役割を果たして0対0のまま延長に突入。10回、ロッテはシーズン中にはなかった3連投で澤村がマウンドに上がったが、一死から代打・柳町達に二塁打を浴びる。続く代打・生海は空振り三振に斬って取ったが周東佑京の当たりは中前へ。ついに均衡が破れると二死二塁から川瀬晃が適時二塁打と畳み掛け、代わった坂本からも柳田が右前適時打。ソフトバンクが3対0とし、勝負はあったかに思われた。
しかし、ロッテはあきらめない。その裏、先頭の代打・角中が津森宥紀から中前打を放つと、荻野の三塁へのボテボテの当たりが内野安打に。無死一、二塁とチャンスを広げると「前の2人がつないでくれたので、“ホームランを打つぞ”くらいの気持ちで打席に立った」と決意を秘めた藤岡が初球、148キロ直球を強振。ロッテファンの大歓声に後押しされた打球は右中間のホームランラグーン席に飛び込む起死回生の同点3ラン。わずか15球で一気の同点劇だ。
球場の熱気はさめやらない。二死から岡大海が左前打で出塁すると、安田尚憲が大津亮介の149キロ直球をとらえた当たりは右中間へ。一走の岡が快足を飛ばしてホームを突く。ソフトバンクも必死の中継を試みクロスプレーとなったが、岡の左手が一瞬早くホームを触り、ロッテが劇的な逆転サヨナラ勝利でソフトバンクを下した。2年ぶりのファイナルステージ進出を決め、「ピッチャーもバッターもよく頑張ってくれました」と選手を称えた吉井理人監督。「われわれはチャレンジャー。これまでどおり、自分たちができることを精いっぱいやっていきます」とオリックスとの決戦を見据えた。
【文責:週刊ベースボール】