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【2023パ・リーグ回顧】オリックスが首位独走でリーグ3連覇、大型補強のソフトバンクは大型連敗が響き3位に

 オリックスが2位・ロッテに15.5ゲームの大差をつけて独走。月間成績で1度も負け越すことなく、危なげない戦いぶりでリーグ3連覇を達成した。強さの源はリーグトップのチーム防御率2.73をマークした強固な投手陣だ。エースの山本由伸が16勝6敗、防御率1.21で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、沢村賞と史上初の3年連続「5冠」を達成。3年連続MVPにも輝いた。若手の成長も著しく、宮城大弥が3年連続2ケタ勝利、高卒3年目の山下舜平大が9勝で新人王を獲得、育成入団で昨年に支配下昇格した東晃平が無傷の6勝とブレーク。救援陣も平野佳寿、宇田川優希、山﨑颯一郎を筆頭に盤石だ。打線では頓宮裕真が打率.307、16本塁打で自身初の首位打者に。西武から昨オフにFA移籍した森友哉、若月健矢と高い能力を持つ2人の捕手の貢献度も高かった。

 ロッテは前年の5位から2位に躍進した。吉井理人監督が就任し、春先から貯金を伸ばすと7月にシーズン最多の貯金13に増やしてオリックスに接近。最後は突き放されたが、見事な戦いぶりだった。小島和哉、種市篤暉が共に2ケタ勝利をマーク。令和の怪物・佐々木朗希は7勝4敗、防御率1.78と安定した投球を続けていたが、夏場に左脇腹肉離れで1カ月半離脱したことが、大きな痛手だった。打線では巨人から加入したポランコが移籍1年目で26本塁打を放ち、タイトルを獲得したが、個人成績で突出した選手が多いわけではない。チーム防御率3.40はリーグ5位、505得点はリーグ4位。だが試合運びが巧みで勝負強い。ソフトバンクと対戦したCSファーストステージ3戦目で、延長10回に3点差を逆転サヨナラ勝ちした試合が象徴的だった。

 ソフトバンクは7月に54年ぶりの12連敗を喫したことが大きく響いた。周東佑京が36盗塁で自身2度目のタイトルを獲得。日本ハムからFA移籍した近藤健介が打率.303、26本塁打、87打点で本塁打、打点の2冠に輝き、柳田悠岐も打率.299、22本塁打、85打点をマークしたが、近藤と柳田の後を打つ五番以降を固定できなかった。投手陣はメジャーから復帰した有原航平が6月から一軍昇格して2ケタ勝利を挙げ、42歳左腕の和田毅が8勝と奮闘したが、その他の先発陣が物足りない結果に。石川柊太が4勝8敗、東浜巨が6勝7敗、大関友久が5勝7敗、スチュワート・ジュニアが3勝6敗といずれも負け越した。小久保裕紀監督が新たに就任し、来季は4年ぶりのV奪回を狙う。

 楽天はシーズン最終戦でロッテに敗れ、2年連続でCS進出を逃した。浅村栄斗が打率.274、26本塁打、78打点で自身2度目の本塁打王を獲得。小深田大翔が36盗塁で自身初の盗塁王に輝き、小郷裕哉、村林一輝がレギュラーに定着するなど個々で成長の跡が見られた。投手陣は2ケタ勝利を挙げた投手がゼロ。チーム最年長の岸孝之が9勝5敗、防御率3.07、則本昂大が8勝8敗、防御率2.61、ドラフト1位右腕・荘司康誠が5勝3敗、防御率3.36だったが、田中将大が7勝11敗、防御率4.91と不安定だった。今オフは松井裕樹が海外FA権を行使してメジャー移籍を目指す。新守護神は渡辺翔太が有力候補か。今江敏晃新監督が投手陣をどのように整備するか注目される。

 西武は5月以降に借金生活から抜け出せないまま優勝争いに絡めず、5位に低迷。松井稼頭央監督就任1年目は悔しい結果となった。課題は明確だ。435得点はリーグワースト。かつて「山賊打線」と他球団に恐れられたが、変革期を迎えている。渡部健人、長谷川信哉、蛭間拓哉、山村崇嘉ら発展途上の選手が多い。今年の経験を糧に何人の若手がレギュラーで一本立ちできるか。投手陣はオリックスと互角に渡り合える力を持っている。髙橋光成、今井達也、平良海馬、隅田知一郎、松本航、與座海人に加え、「大学No.1左腕」と評されるドラフト1位・武内夏暉が入団してさらに厚みを増す。救援陣も安定しており、得点力強化がチームの命運を握る。

 日本ハムは1974、75年以来48年ぶりの2年連続最下位に。勝率5割を狙える位置につけていた7月に39年ぶりの13連敗を喫したことが勝負の分かれ目となった。明るい材料もある。万波中正の覚醒だ。打率.265、25本塁打、74打点をマーク。本塁打王に1本差で届かなかったが、確実性が増して中軸で計算できる強打者に成長した。FA移籍した近藤健介の人的補償で加入した田中正義も47試合登板で2勝3敗25セーブ8ホールド、防御率3.50とブレークの年に。今オフはFA市場で去就が注目されていた加藤貴之が残留、オリックス・山﨑福也の獲得に成功した。さらに、オリックスから黒木優太をトレードで補強。戦力を整え、新庄剛志監督就任3年目の来季は「実りの秋」にできるか。

【文責:週刊ベースボール】