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【コラム】開幕直前!2024年セントラル・リーグ展望

 昨年のセ・リーグは阪神が18年ぶりのリーグ優勝を飾り、日本シリーズもオリックスを4勝3敗で制し、38年ぶりの日本一に輝いた。リーグ連覇を狙う今年も優勝候補の筆頭であることは間違いない。昨季2位の広島、救援陣を強化した巨人のほか、新戦力の活躍次第でDeNA、ヤクルトが優勝争いに加わってくる可能性が十分にある。2年連続最下位からの巻き返しを狙う中日は大型補強を敢行。各球団に大きな力の差はないだけに、混戦に持ち込めるか。春先から目の離せない戦いが続きそうだ。

 阪神はオープン戦で3勝14敗1分の最下位だったが、深刻に受け止める必要はないだろう。村上頌樹、大竹耕太郎、伊藤将司、青柳晃洋、才木浩人、西勇輝、門別啓人と先発陣は豪華な顔ぶれ。救援陣もゲラ、ドラフト5位・石黒佑弥の加入で層が厚くなった。打線も近本光司、中野拓夢、森下翔太、大山悠輔、佐藤輝明、木浪聖也と得点を取るために状況判断に優れた選手たちがそろっている。就任2年目の岡田彰布監督が球団史上初のリーグ連覇のカギとして、新戦力の台頭を求めている。左翼の定位置が固定されていない中で、前川右京、小野寺暖、野口恭佑、井上広大ら若手が一本立ちするような活躍を見せられるか。坂本誠志郎、梅野隆太郎の両捕手が戦線離脱せず、1年間戦えるかも重要だ。

 4年連続Bクラスから2位に躍進した広島。覇権奪回はならなかったが、新井貴浩監督は就任1年目で見事にチームを再生させた。西川龍馬がオリックスにFA移籍したが、外野陣は田村俊介、久保修がオープン戦で活躍。成長著しい若手の存在はチーム力の底上げにつながる。左膝内側半月板損傷で離脱している末包昇大は4月中の復帰を目指しており、状態が万全ならクリーンアップを担う。昨季は9勝15敗1分と阪神に大きく負け越し。大竹に7試合登板で6勝0敗、防御率0.57と完璧に封じ込まれた。苦手意識を払拭するためにも今年は早めに天敵を攻略したい。投手陣のキーマンは大瀬良大地だろう。昨年は6勝11敗と不本意な成績に。今年は勝敗の数字をひっくり返したい。

 DeNAは左腕エース・今永昇太がポスティングシステムでカブスに移籍。バウアーの復帰も不透明な状況で戦力ダウンが危惧されるが、オープン戦でジャクソン、ケイの両助っ人投手が質の高い投球を見せ、オリックスから加入したサブマリン・中川颯も実戦で16イニング連続無失点と明るい材料が多い。打線はドラフト1位・度会隆輝がオープン戦打率.434で10年ぶりの新人で首位打者に。ドラフト4位の石上泰輝も打率.327、1本塁打、5盗塁をマークし、遊撃で十分に戦力になる。故障が目立つオースティンがシーズンを通して稼働すれば、打線の破壊力はリーグ屈指だ。

 2年連続Bクラスに低迷した巨人は阿部慎之助監督が就任。オープン戦では若手の躍動が目立った。ドラフト3位・佐々木俊輔は打率.400をマーク。内野の複数ポジションを高い能力で守るドラフト4位の泉口友汰、先発、救援どちらでも投げられるドラフト5位・又木鉄平も大きな戦力になる。懸案だった救援陣はケラー、近藤大亮、馬場皐輔らを補強して層が厚くなった。カギを握るのは守護神・大勢。昨年は右上肢コンディション不良で2カ月半離脱したことがチームにとって大きな痛手だった。今年はきっちり稼働できるか。セットアッパーで起用されるドラフト1位・西舘勇陽の役割も重要になる。

 リーグ3連覇を狙った昨年はまさかの5位に低迷。塩見泰隆、山田哲人と主力の離脱が相次ぎ、村上宗隆も春先の打撃不振が響いた。今年は楽天から西川遥輝が加入。塩見との一、二番でチャンスメークできれば、サンタナ、村上、山田、オスナの強力打線で得点を重ねられる。投手陣は小川泰弘、石川雅規にいつまでも頼っていられない。高橋奎二、吉村貢司郎が先発の軸になれるか。ヤクルトはリーグ連覇を飾った21、22年は強力な救援陣がチームを支えていた。8回は清水昇、9回は田口麗斗と勝利の方程式が固まっているだけに、「7回の男」を確立できれば、白星を積み重ねられるだろう。

 球団史上初の2年連続最下位からの逆襲を誓う中日は、近年の課題だった得点力不足へ積極的な補強を敢行。中田翔、中島宏之、上林誠知、ディカーソン、山本泰寛を獲得した。育成枠で入団したロドリゲスが遊撃の守備で安定感抜群のパフォーマンスを見せ、支配下昇格。競争が激しくなったことで、既存の選手たちも意地を見せている。高橋周平、三好大倫が打撃好調で定位置奪取をアピールした。オープン戦は投打ががっちりかみ合い、10勝5敗5分で1位タイに。投手陣は先発、救援共に整っているだけに、打線をどう機能させるか。立浪和義監督の手腕が注目される。

【文責:週刊ベースボール】

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