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【コラム】チームを勢いづけた初回初球先頭打者弾、新天地で覚醒した日本ハム・水谷瞬

 初球、迷いなくバットを振り抜いた。7月17日の楽天戦(エスコンF)。一番・中堅でスタメン出場した日本ハム・水谷瞬は初回、いきなり古謝樹の147キロ直球をとらえた。打球は左翼席最前列へ。「一度、先頭打者本塁打を打ってみたかった」という一撃でチームを勢いづけた。2対1で迎えた8回には先頭で打席に入ると四球。その後、代走を送られたが打線がつながり一挙4得点を奪う。チームは6対2で勝利を飾り、単独3位に浮上した。

 この日、水谷はプラスワン投票でオールスターに選出された。第1戦の開催地は本拠地のエスコンフィールドだ。「プロ野球選手としてやっている以上は出てみたかった。ファンの方々が熱心に投票していただいたおかげ。晴れ舞台で感謝の気持ちを一番いい形で伝えられた」と喜んだ。

 昨オフ、現役ドラフトでソフトバンクから日本ハムに移籍。ソフトバンクでは5年間で一軍出場がなかったが、新天地で覚醒した。交流戦では史上最高打率でMVPを獲得するなど前半戦終了時点で52試合に出場し、打率.309、4本塁打、28打点をマークしている。

「数字だけを見てみたらすごい数字というか、しっかり結果を出せているのかなと思うんですけど、本当に実感がなくて。交流戦でMVPを獲ったことも、歴代最高打率という記録をつくったということも実感がないですね。ただ、交流戦の前から、交流戦が終わっても、1打席、1打席同じような気持ちで取り組めているのは大きいかなと感じます」

 日本ハムには万波中正、野村佑希、さらに今季は田宮裕涼もブレーク。活躍する同学年の存在が刺激となっているのは間違いない。そして、新庄剛志監督から伝わってくる信頼感。自らの力を発揮できる環境で、チームの水が肌に合っていたのは確かだろう。

「新庄監督の存在は大きいですね。野球を知らない人でも知っているようなスーパースターなので、野球以外でも参考になるところはあります。新庄監督が先頭に立ってファンの方を盛り上げていこうという雰囲気があれば、選手たちもそれについて行ってという形にもなりますから」

 指揮官からの言葉で胸に響いたものもある。

「やっぱり初ホームランを打ったときにインスタグラムに載せていただいた『おめでとう』というメッセージですね。その中で『何年後かにメジャーに』という言葉も使っていただいて、すごくうれしかったですし、『また明日から頑張ろう!』という原動力になりました」

 オールスターが終われば後半戦がスタートする。現在、日本ハムは貯金4の3位。激しいAクラス入り争いが待っている。

「僕自身はまだまだチームを引っ張っていくとか、そんなことを言える立場ではないですけど、なんとか『一日1本』という気持ちでやっていって、その1本が勝利に貢献できる1本だったらいいなと思いながら、必死にやっていきたいです」

 日々新鮮な気持ちで。チームのために前だけを見据えて戦っていく。

【文責:週刊ベースボール】

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