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【コラム】攻守に存在感が増している扇の要、史上5人目の快挙も狙うロッテ・佐藤都志也

 打った瞬間、確信した。8月10日、オリックス戦(ZOZOマリン)。0対0で迎えた4回裏二死で打席に入ったロッテ・佐藤都志也は宮城大弥が投じた初球、外角低めのスライダーを鋭いスイングでとらえた。打球はロッテファンで埋まる右翼席へ一直線。試合の主導権を握る3号ソロに「何とか先制点を、と思って打席に入りました。いい形で取れたので良かったです」と手応えを口にした。

 守っても先発の唐川侑己を好リード。5回一死から中川圭太に同点弾を浴び、なお一死一塁とピンチが拡大しそうな場面ではベテラン右腕の復活のカギとなったカットボールを巧みに織り交ぜた。同球種でセデーニョを見逃し三振、宗佑磨を左飛に打ち取って勝ち越しを許さず。唐川の7年ぶり本拠地での先発勝利を後押しした。

 2020年、東洋大からドラフト2位でロッテ入団。今季で5年目を迎えたが攻守で頼りになる捕手へと成長を果たした。8月12日現在、リーグ2位の打率.296をマーク。今季は二番、九番以外の打順を経験しているが、6月13日のDeNA戦(ZOZOマリン)では自身初の一番で起用された。2点ビハインドの3回には右前打で出塁し、反撃の糸口を作った。試合後には吉井理人監督も「一番打者がなかなか固定できなかった中で、最も出塁ができて、チャンスで回ってきても打てるのは佐藤かなと思った」と絶大な信頼を口にしている。

 開幕前には打率2割5分以上を目標に掲げていたが、それを余裕で上回る成績を残している。打撃覚醒の大きな要因は意識の変化だ。「昨年までは基本的に引っ張りの打撃をしていた印象があると思いますが、今季は逆方向にどれだけ強く打てるか、というところを意識してやっています」。村田修一打撃コーチと取り組んできたことが形になっている。

「ボールの見極めもできて、三振もちょっと少なくなってきている。バットスイングが速いのが僕の特徴らしくて、変化球待ちでも対応できる形を作っている感じ。やるべきことはできていると思います」

 オールスターにも初出場し、第2戦(神宮)では球宴史上最多タイの1試合5安打をマーク。ロッテでは1989年の村田兆治以来、35年ぶりのMVPに輝き、「ロッテの名前が消えてしまうくらい長い間獲れていなくて、踏みとどまれて良かった」と笑顔を浮かべた。

 現在、首位打者に立つのは打率.322のソフトバンク・近藤健介だ。少し差が開いているが、佐藤がタイトルを狙える位置につけているのは確かだろう。守備の負担が大きい捕手で首位打者に輝いたのは65年の野村克也(南海、打率.320)、91年の古田敦也(ヤクルト、打率.340)、2012年の阿部慎之助(巨人、打率.340)、19年の森友哉(西武、打率.329)の4人だけだ。吉井監督も「このまま大物になってほしいなと思っています」と大きな期待をかけている。

 打てる捕手として注目が高まっている佐藤。ペナントレースは終盤戦に突入していくが、パ・リーグを熱くする存在なのは間違いない。

【文責:週刊ベースボール】