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【コラム】新天地で攻守に躍動して開幕3連勝に貢献、司令塔として勝利にこだわる巨人・甲斐拓也

「しびれましたね。ジャイアンツに来て、ヒーローインタビューに立って、グラウンドを一周できるというのは、ちょっと震えましたね」と感慨深げな表情を浮かべたのは巨人・甲斐拓也だった。3月29日、ヤクルトとの開幕第2戦(東京ドーム)。七番・捕手でスタメン出場した甲斐は10点リードで迎えた4回一死一塁で打席に立つと、カウント2-0から金久保優斗の真ん中直球を強振。高々と舞い上がった打球は左翼席へ飛び込む移籍後初アーチとなった。マスクをかぶっては5投手による完封リレーで12対0の大勝に貢献。翌日の同カードでも投手陣を好リードで引っ張り3対0と再び完封リレーを演出した。チームを開幕3連勝に導いたが、甲斐本人に慢心はない。「シーズンを戦う中で波があります。一喜一憂せず、143試合を戦い抜くために、いろいろな準備をしっかりやっていきたい」と足元を見つめる。

 ソフトバンクで8年連続100試合以上の出場を続け、7度のゴールデン・グラブ賞を獲得。4度の日本一に輝いた球界を代表する捕手が国内FA権を行使して新天地に選んだのが巨人だった。「決め手は阿部慎之助監督」。入団会見で甲斐はそう口にした。巨人は昨年、岸田行倫、大城卓三、小林誠司の3捕手併用で4年ぶりのリーグ優勝を勝ち取った。それでも阿部監督は甲斐の獲得を熱望。あこがれの捕手だった指揮官からの司令塔としての高評価は大きな決め手になった。

 伝統球団で着けるのは阿部監督の現役時代の背番号『10』。侍ジャパンでも同背番号を背負っていたが「もともと好きな背番号でしたし、それは少なからず阿部さんが着けていたというのがあると思います。阿部さんが『キャッチャーの10番』を印象付けたと思いますし、それを見ていた僕らが『10番ってカッコいい!』と思うようになりましたから」と語る。

 阿部監督の高評価に加えて、移籍した理由の一つとして「野球選手である以上、常に学んで成長していきたい」という向上心を挙げる。

「そこはさらに追求していきたいです。これから普段戦ったことのないチームと対戦するにあたって、やるべきことはたくさんあると思いますから。すべてを分かっているパ・リーグのままでいたほうがやりやすいに決まっているんですけど、それではちょっともったいない、と。セ・リーグの野球の難しさは交流戦や日本シリーズですごく感じていたので。まだまだ学ぶべきものはたくさんありますし、野球をしている以上はずっとついてくるものだと思います」

 司令塔としてのプライドもある。

「やっぱりキャッチャーというのは“試合を動かす”ことができるポジションだと思っています。もちろんピッチャーにサインを出しますし、試合の流れや勝敗も左右するし、チーム全体の勢いにも影響を及ぼします。その中でピッチャー心理やバッター心理はもちろん、守っている野手心理まで読み取らなければならない。だから試合全体、あらゆることを見ていなければいけないし、その上で試合を動かす、動かしていかなくてはいけない。だからこそ、司令塔なのではないかと思います」

 キャッチャーとしていくら優れていても、チームが優勝できなければ意味がない。「勝って評価されるポジション」であることを肝に銘じている。

「巨人は勝ち続けなければいけない球団。負けていいシーズンなんて一切ないチームだと思うので、そうした意味でもやっぱり勝たなければいけない」

 強い覚悟を持って、新天地で司令塔としてシーズンを勝ち抜く。

【文責:週刊ベースボール】