【コラム】首位快走のオリックスをけん引する宮城大弥、背番号変更で示した勝利への強い覚悟
両リーグ一番乗りの10勝目はプロ野球記録の開幕からビジター8連勝でもあった。4月13日の楽天戦(楽天モバイル)で6対1の勝利を飾ったオリックス。同日現在、10勝3敗1分、勝率.769と開幕ダッシュを決め、2位・日本ハムに2.5ゲーム差をつけ首位を快走している。
13日の試合で勝利の立役者となったのはエースの宮城大弥だ。初回に中川圭太の2点タイムリーヒットなどで3点の援護をもらうと雨が降りしきる中、熱投。8回に一死から伊藤裕季也、村林一輝に連打を浴びて一、三塁のピンチを招き、辰己涼介の左犠飛で1点を失ったが132球を投げ抜き8回5安打6奪三振1失点で今季2勝目をマークした。
「久しぶりに雨の中での試合だったんですけど、悪い思いは捨てて、いいピッチングだったのかなと思います。野手と投手で調子がいい選手がたくさんいますし、最後まで気を抜かずに優勝に向かってみんなで頑張りたいです」
昨年は悔しいシーズンだった。エースの山本由伸がドジャースへ、山﨑福也が日本ハムへ移籍。先発陣の中心としての活躍が期待されたが、20試合に登板して7勝9敗、防御率1.91に終わった。5月に左大胸筋の筋損傷で一時離脱し、4年連続の規定投球回到達と2ケタ勝利を逃すシーズンになり、目前だった最優秀防御率のタイトルも楽天とのシーズン最終戦(楽天モバイル)が7回で降雨コールドなる無情の幕切れで獲得できず。チームは4連覇を逃し、5位に終わった。
無念のシーズン終了後、宮城は背番号変更を球団に申し出た。プロ入りから5年間背負った『13』から山本が着けていた『18』に変更。山本には背番号変更の連絡を入れ「もちろんいいよ。タイトル(獲得は)、俺がいないから余裕だろって」と背中を押してもらったという。「日本のエースは18番だと思っています。オリックスのエースと言えば『18』を背負ってきた人たちです」。宮城にとって理想のエース像は「本当に勝ちたいときに勝てる投手。どうしても勝てない試合もあると思いますけど、その中でも良い投球をして、(周囲に)良い影響を与えられるようになりたいです」ときっぱり言い切った。
年々高まる勝利への思い。勝負どころで三振を奪ったあと、感情を表に出すシーンも増えた。さらに今季の目標に掲げているのは「ハイクオリティー・スタート(7回以上、自責点2以下)」だ。そこにも勝利を希求する思いがにじむ。
「チームが勝つ確率を上げるためです。長いシーズンを戦う上で、中継ぎの方の負担を少しでも減らしたい思いもありますし。クオリティー・スタート(6回以上、自責点3以下)より失点を少なく。たった1イニングかもしれませんが、シーズン24、25試合に先発すれば、24、25イニングの違いになる。そうしてチームの力になって、シーズンを戦い抜いていきたい。そのために頑張るだけです」
ここまで開幕から3試合に先発し、すべて8回を投げ切っている。イニング数(24)は西武・今井達也と並んでリーグトップ。強い覚悟を体現する左腕がチームをけん引していく。
【文責:週刊ベースボール】