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【コラム】「もう1度人生を変えられるように頑張る」、闘志を燃やしマウンドに立つ中日新守護神・松山晋也

 この男がマウンドに立てば中日の勝利は揺るがない。身長188センチの長身右腕・松山晋也だ。5月2日の広島戦(マツダスタジアム)では4対2と中日が2点リードの9回にマウンドへ。四番・末包昇大を二ゴロ、五番・坂倉将吾を見逃し三振に打ち取り、簡単に二死としたが、六番・ファビアンには右前打。一発を浴びれば同点の場面となったが、まったく動じない。七番・堂林翔太に対しては1ボールから低めのフォークを打たせて二ゴロに仕留め、チームに勝利をもたらした。

「まだまだ課題はある」と本人は語るが、守護神の存在がチームの戦いに安定感をもたらす。5月6日現在、14試合に登板して0勝0敗11セーブ2ホールド、防御率1.32をマーク。セーブ数はセ・リーグ1位を誇っているが、昨年は主に8回を任され、43ホールドポイントで最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。

「どうしても獲りたかったので、めちゃくちゃうれしいです。2位だと、そのときは『よく頑張ったね』と言われますけど記録には残らないですし、忘れられますからね。アマチュアだったら、2位でもその頑張りがいろいろな人の記憶に残り、それでドラフトにかかったりすることもあると思いますけど、プロではタイトルが重要。記録に残りたかったのでうれしかったです。

 昨年オフには2度目のセーブ王に輝いた“絶対的守護神”ライデル・マルティネスの移籍騒動にチームは揺れた。しかし、その渦中で松山はきっぱり言い切っていた。

「残留だろうと移籍だろうと、結局は勝負なんですよ。僕の中では今年もそうでした。彼から抑えの座を奪うつもりでやってきていますし、常に勝負しているんです。残留しても来年は自分が抑えの座を奪うつもりでやりますし、そうでないと成長していかないじゃないですか。別に彼と僕の順番(8回と9回)が入れ替わってもいいわけですから。いつだって勝負なんですよ」

 結局、マルティネスは巨人へ移籍。抑えの座は空位となったが、ライバルを蹴散らし松山が新たな守護神となった。

 八戸学院野辺地西高では甲子園出場なし。八戸学院大でもリーグ戦デビューは3年秋と遅かったが、4年秋に頭角を現して2022年のドラフト会議で中日から育成1位で指名。150キロを超える球威十分の直球、フォークのコンビネーションで打者をねじ伏せ、1年目の23年6月に支配下昇格を果たした。決して華やかな野球人生ではなかったがプロで表舞台に顔を出し、中継ぎでタイトルを獲得。さらに守護神を務める今季は「もう一度、人生を変えられるように頑張りたい」と意気込む。

 ここまで一軍で109試合にリリーフ登板し、103回1/3を投げているが被本塁打はゼロだ。

「とにかくゼロで抑えること。もちろん3人で抑えるに越したことはないんですが、走者は出しても最終的にゼロで抑えること。先発投手が登板日に合わせ、その日のために死ぬ気で調整しているのを知っています。先発投手の勝敗、いや人生がかかっていますから」

 闘志を燃やして9回のマウンドに立つ松山が、チームを上昇気流に乗せていく。

【文責:週刊ベースボール】