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【コラム】念願のサイクル安打を達成した巨人・丸佳浩、衰えを知らない打撃技術でチームを高みへ

 36歳が全力疾走で二塁を回った。必死の思いで三塁ベースにヘッドスライディング。8月19日のヤクルト戦(神宮)、7回一死三塁の第5打席に右中間を破る適時三塁打を放ってサイクル安打を達成したのは巨人・丸佳浩だ。

「最後、全然足が回ってくれなくて本当に疲れました。頼むから自分の足、持ってくれ、と。もうちょっときれいなスライディングで決めたかったけど、変なスライディングになって(苦笑)。でも、まさかこの歳で達成できると思っていなかったので良かったです」

 三番・右翼で先発出場したこの試合では初回から快音を響かせた。一死二塁でランバートの内角直球を強振。打った瞬間にスタンドインを確信する右翼席への5号先制2ランで勢いに乗ると、3回に右前打、5回に中越え二塁打でサイクル安打へ王手をかける。6回に四球を選び、迎えた7回の第5打席で決めた。記録への意識は薄かったが、打席に向かう前に二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチに声を掛けられ、「一塁ベースを回ったくらいで思い出した」と激走を見せた。

 サイクル安打は2021年のヤクルト・塩見泰隆以来となる72人目、77度目。巨人では2008年の小笠原道大以来、17年ぶりの偉業だ。36歳4カ月での達成は1983年の広島・山本浩二に続く歴代4番目の年長記録となる。「若いときから一度はやってみたいと思っていました。でも、年齢を重ねるにつれてあきらめかけていた。できることをやるのはプロとして当然。やることは変わらない。何より勝ちにつながったのがうれしい」と15対2の大勝に貢献できたことを喜んだ。

 プロ18年目を迎えた今季、3月のオープン戦で走塁中に「右大腿二頭筋筋損傷」のケガを負って戦線離脱。しかし、ベテランは嘆くこともなく前を向いた。「ケガをしてしまったことでウダウダ考えても仕方がありません。今から取り返そうと思って肩肘を張ってもよくない。自分のキャパシティーの中で、できることをしっかりやりたい」。ファームでじっくりとリハビリに励み、5月16日のイースタン・オイシックス戦(Gタウン)で実戦復帰。一軍昇格直前の24日、同・西武戦(Gタウン)では全盛期を思わせる逆方向への左翼席に本塁打を放り込んだ。

 5月27日に一軍昇格すると、故障で離脱していた岡本和真に代わって四番に起用された時期もあったが、6月中旬から一番に固定。サイクル安打を達成した8月19日からは三番に座るが、どの打順でも安定した力を発揮している。8月25日現在、63試合に出場し、打率.281、6本塁打、24打点をマーク。出塁率は.371、長打率は.433を数え、OPSは.804。高い打撃技術は衰え知らずだ。甘く入れば長打を放ち、ボール球に手を出さない。通算1101四球は現役選手の中でトップ。歴代の成績でも11位に該当する数字だ。通算安打は1907本。今季中の達成は厳しいが、来季中には2000安打をクリアするだろう。

 現在、巨人は2位ながら首位・阪神に13ゲーム差をつけられている。逆転優勝は現実的ではないが、Aクラスに入ればクライマックスシリーズで“下克上”のチャンスはある。逆転日本一を遂げるために丸の力が必要なのは言うまでもない。

【文責:週刊ベースボール】