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【コラム】2位・日本ハムとの直接対決で値千金の同点弾、ソフトバンク連覇へ打線をけん引する栗原陵矢

 目の前の打席に全神経を集中させていた。9月18日の日本ハム戦(みずほPayPay)。ソフトバンクが1対2と1点ビハインドで迎えた8回裏の攻撃だ。この回からマウンドに上がった古林睿煬に対して、先頭の中村晃は7球粘りながらも捕邪飛に打ち取られた。ネクストバッターズサークルに控えていた栗原陵矢は、しっかりと古林が投げるボールの軌道を目に焼き付けていた。

 集中力を最大限に高めて打席に入ると、その初球だ。外角低めへの152キロ直球をとらえた打球は高々と舞い上がって右中間のテラス席へ。二塁手前でスタンドインを確かめた栗原はガッツポーズ。ホームイン後、ベンチに帰ると笑みを浮かべて仲間からの祝福を受けた。勢いづいたタカ打線はこの回、古林を一死満塁と攻め立てると代わった田中正義から川瀬晃が押し出し四球をもぎ取って勝ち越し。3対2で2位・日本ハムを下したソフトバンクはゲーム差を4.5とし、2年連続優勝へ大きく前進した。

 小久保裕紀監督は「今日は栗原に尽きる」と激賞。勝利の立役者となった背番号24はお立ち台で「(4時間に迫る熱戦に)明日までかかるかなと思っていたんですけど、今日中に終わって良かったです(笑)」とファンの笑いを誘うと、同点ソロに関しては「あまり記憶がないというか、気付いたら振っていて、気付いたらガッツポーズをしていたんで。本当に興奮していました」。続けて「今日は素晴らしい活躍だったと思います!」と自画自賛し、「本当にチーム一丸となって戦っていますし、最後まで熱い戦いが続きますけど、必ず優勝します!」と高らかに宣言した。

 昨年、初めてベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を獲得し、4年ぶりの優勝に貢献した栗原。しかし、今年はケガに泣いた。開幕前の3月11日、巨人とのオープン戦(長崎)の守備中にフェンスに衝突して右脇腹を痛めて離脱。4月に一軍復帰したが、7月に入ると再び右脇腹に痛みを覚えた。7月3日に一軍登録抹消。「何回も何回も繰り返していたら、バカみたいなので。(一軍に)戻ったときにはしっかり最後まで戦えるような体をつくろうとしています」と2度と同じ轍は踏まない覚悟でリハビリに取り組んだ。

 再び一軍の舞台に戻ってきたのは8月29日のロッテ戦(ZOZOマリン)だった。七番・三塁でスタメン出場すると、2回二死二塁の好機で復帰後初打席を迎えた。「緊張しましたけど、何とか先制点という気持ちが上回りました。なかなかファーストスイングを仕掛けられない中、良い形でカウントを進めることができたのが良かったです」。フルカウントからボスの外角低め直球に食らいつき、中前へ先制適時打。リハビリ中には「今、僕が復帰して、一軍で出られるかって言われたら、そこの立場にいる成績ではない」と危機感も口にしていたが、しっかりと結果で応えてみせた。

 日本ハム戦後、チームは9月20、21日のオリックス戦(みずほPayPay)で連敗。だが、栗原は「1試合、1試合やることには変わりはない」と集中力を高める。9月は打率.407、2本塁打、11打点と絶好調だ。タカ打線をけん引する栗原が、Vへラストスパートをかける力になる。

【文責:週刊ベースボール】