安打は両チーム4本ずつ、得点は合わせて3。選手が塁間を駆け抜ける場面は少なかったものの、片時も目を離すことのできない3時間31分だった。コナミ日本シリーズ2011の第1戦は、中日が福岡ソフトバンクを延長10回の末に2対1で退けて先勝。両チーム投手陣の踏ん張りによって、引き締まった内容になった。
先制したのは福岡ソフトバンク。4回裏一死一、二塁から、クライマックスシリーズ(CS)から殊勲打が続いている長谷川勇也が中前にタイムリーを放ち、重い意味を持つ1点を先取した。加えて、先発の和田毅も7回表一死まで無安打ピッチング。スタンドを埋めた鷹党の後押しもあり、中盤まではホーム・福岡ソフトバンク優位で進んだ。
しかし、中日は7回表一死から和田一浩がレフトスタンドぎりぎりに運ぶ同点ソロ。これで息を吹き返し、延長10回表には二死から小池正晃が勝ち越しソロを放つ。この試合初めて得たリードを、9回裏から登板の浅尾拓也、10回裏二死からマウンドに上がった岩瀬仁紀のリレーで守り切った。粘って粘って競り合いをものにする、今シーズンの中日の戦いを象徴するような勝ち方だった。
中日に流れを呼び戻したのは、先発・チェンの「粘投」だ。4回裏一死一、二塁から先制点を奪われ、なお一、二塁に走者を置いた場面で、ストレートを軸にしたパワーピッチングへ転換。ピンチの場面だからこそ逃げずに対峙する、チェン-谷繁元信のバッテリーの気持ちの強さが垣間見えた。チェンはその後、交代する8回まで相手打線をすべて三人で片付けた。勝ち星はつかなかったが、本塁打を放った2人と並ぶ勝利の立役者といえるだろう。
途中まで勝っていた試合、しかもホームでの初戦を落とした福岡ソフトバンクも収穫を得た試合だった。前述の通り先発・和田が好投し、4回の攻撃も安打、盗塁、四球を絡めた効果的なものだった。相手の上位打線、一番から四番までを無安打に抑えたのも大きい。
試合後、落合博満監督が「ウチらしい試合だった」と振り返ったように、第1戦でいつもの野球を展開したのは中日だった。頂上決戦は初めてという選手が多い福岡ソフトバンクは、今日の経験を今後にどう生かしていくか。シリーズの行方が見えてくる明日の第2戦は、第1戦以上に見逃せない試合になる。
2011年11月12日(土)
ヤフードーム ◇開始 13:00 (3時間31分) ◇入場者 34,457
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 | H | E | |
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 4 | 1 |
福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 |
[中] | チェン、○浅尾(1-0)、(S)岩瀬(1S) - 谷繁 |
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[ソ] | 和田、ファルケンボーグ、●馬原(0-1) - 細川、山崎 |
[中] | 和田 1号(7回1点 和田)、小池 1号(10回1点 馬原) |
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