息が詰まるような、それでいて「いつまでも見ていたい」と思わせる、見ごたえのある7試合が終わった。今季のプロ野球を締めくくるコナミ日本シリーズ2011は、両チームともに3勝で迎えた第7戦、3対0で福岡ソフトバンクが中日を下し、8年ぶり5度目の日本一に輝いた。
先発投手の福岡ソフトバンク・杉内俊哉、中日・山井大介とも上々の立ち上がり。先に沈黙を破ったのは福岡ソフトバンクだった。3回裏、先頭の多村仁志が内野安打で出塁すると、長谷川勇也が初球、低めのシュートをフルスイングでセンター深くに運んで無死二、三塁。続く山崎勝己が四球で満塁とすると、川崎宗則も押し出し四球を選んで先制点を挙げた。結局、この回はその1点だけにとどまったが、続く4回裏、二死一、二塁から山崎がライト前に弾き返して2対0。変化球を泳ぎながらも粘ってファウルにしていた山崎は、3回の長谷川と同様、フルスイングで打ち返した。さらに7回裏には二死二塁から内川聖一がタイムリーヒット。強いチームで自分を磨きたいと、今季、故郷・九州に舞い戻った首位打者のバットで決定的な3点目を奪った。
福岡ソフトバンクは杉内、ファルケンボーグ、さらにスクランブル登板の森福允彦、攝津正とつないだ継投も盤石。7回で交代した杉内は、内なる闘志と丁寧さを合わせ持つ投球で、ピンチらしいピンチは7回表の二死一、二塁のただ1度。続く藤井淳志を落ちる球で三振に取り、クライマックスシリーズのファイナルステージ第3戦、そしてコナミ日本シリーズ2011の第2戦で、いずれも好投しながら無念の降板を喫した悔しさを晴らした。
さて、前日に3勝3敗のタイとした中日ナインにとっては、悔しさの残る第7戦になった。それでも1、2、6戦目と、勝った試合はすべて2対1というスコアに代表されるように、少ないチャンスで挙げた少ない得点を強力投手陣を軸に守り切る、今季のチームの特色は十分に発揮した。今回は敗れたが、日本一の座はそれほど遠くない。この7試合を見たファンの多くは、そう思ったことだろう。
今年の日本プロ野球の王者は、福岡ソフトバンクホークスに決まった。思えば09年、秋山幸二監督が指揮官に就任した際に掲げたテーマは、「フリキレ!!」。伸び伸びと思い切ってプレーしようという意味の言葉だったが、この第7戦で見せたバットスイング、さらには再三の好リリーフでチームを救った森福の腕の振りは、まさにその言葉通りだった。MVPに輝いた小久保裕紀は「このMVPは僕1人ではなく、選手みんなのもの」。この日本一は秋山監督のもとで3年間、チームが取り組んできたことの集大成でもあった。
2011年11月20日(日)
ヤフードーム ◇開始 18:33 (3時間30分) ◇入場者 34,737
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 |
福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | x | 3 | 8 | 0 |
[中] | ●山井(0-1)、小林正、ネルソン、浅尾、岩瀬 - 谷繁 |
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[ソ] | ○杉内(1-0)、ファルケンボーグ、森福、(S)攝津(1S) - 山崎、細川 |