日本野球機構オフィシャルサイト

　日本シリーズ史上最多優勝監督でもある巨人OB・川上哲治氏への黙祷から始まった、コナミ日本シリーズ2013第4戦。先制したのはこの日も東北楽天だった。巨人先発・ホールトンの立ち上がりを攻め、走者を2人置いた初回に、四番ジョーンズが左翼席上段へ3ラン本塁打。2回表にも藤田一也のタイムリーで4点目を挙げ、また東北楽天のペースかという雰囲気が試合序盤には存在した。

　しかし、この日の巨人は違った。高橋由伸、ロペスをスタメンから外すなど、前日までと打線を組み替えたのが奏功したのか、徐々に点差を詰めていく。初回に村田修一のタイムリーで1点を返すと、4回裏、2番手の宮川将を2四球1安打1死球と攻め立て（宮川は寺内崇幸の頭部への危険球で退場）、緊急登板の3番手・小山伸一郎から阿部慎之助が中犠飛を放ち、1点差に詰め寄った。

　その直後にリリーフに立った巨人3番手・澤村拓一が東北楽天のクリーンアップトリオをこの試合両軍初の三者凡退に抑えると、流れは巨人に傾く。5回裏には、一死一、二塁からの長野久義による左中間への2点タイムリー二塁打で、巨人が一時逆転に成功。

　東北楽天も負けじと、「巨人の勝ちパターンの中継ぎ投手が出てくる前に点を取っておきたかった」という聖澤諒のタイムリー二塁打で6回表に同点へ追いつくが、7回裏一死一、二塁の場面では寺内崇幸の打球が右翼手と二塁手の中間、ライト線の内側にポトリと落ちて、決勝タイムリー安打に。決していい当たりではなかったが、やはりこの日の流れは巨人のほうにあったのかもしれない。

　その後は聖澤が言ったように、マシソンと山口鉄也のリレーによって、東北楽天に反撃の隙を与えなかった巨人。2勝2敗に追いついた原辰徳監督は「苦しいゲームだったが、タイに持ち込んだのは大きいと思います。やっと折り返したところ。落ち着いて、明日から一戦一戦やります」と笑顔で語り、対照的に東北楽天・星野仙一監督は淡々と「今日は俺のミス。それだけ。打線は悪くない。チームで12四死球も与えて、勝てるわけない」と、先発ハウザーの3回4四球1死球を筆頭に、チーム全体で10四球2死球を与えた投手陣が敗因だとした。

　巨人は、コナミ日本シリーズ2013本拠地初勝利。今シリーズ初スタメンの矢野謙次やボウカー、中井大介を試合前半で引っ込めても、途中出場の松本哲也や亀井善行が得点に絡む活躍をする層の厚さを見せつけた。対照的に東北楽天はこの試合で「九番・投手」の部分しか選手交代がなかったが、それだけレギュラー陣が固定されているということでもある。

　明日のコナミ日本シリーズ2013第5戦が引き分けに終わらない限り、どちらかが「王手」をかける。良い気分のまま仙台に移動するのは、どちらのチームになるのか。日本シリーズの流れの中で、大事な分岐点となりそうだ。