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【コラム】開幕直前!2020年パシフィック・リーグ展望

強力打線が健在の西武、厚い戦力層を誇るソフトバンク。
楽天、ロッテも戦力アップに成功し、日本ハム、オリックスも侮れない

 昨季、西武が連覇を果たしたパ・リーグ。しかし、2年連続で2位・ソフトバンクがクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いて日本シリーズへ進出し、3年連続日本一に輝いた。120試合制となる今季、CSは1位と2位による対戦のみに短縮してアドバンテージ1勝を含む4試合制となる。果たして、西武が3連覇を果たして、悲願の日本シリーズへ進むことができるか。2020年のペナントレース、各球団の戦力を探る。

 昨季もリーグトップの756得点を叩き出した強力打線の力でペナントを勝ち抜いた西武。最多安打を獲得した秋山翔吾がMLBレッズへと移籍したが、強力打線は健在だ。練習試合でも12球団トップの打率.298、69得点。相変わらず投手陣は不安定だが、それをカバーする得点力を見せた。新外国人のスパンジェンバーグが練習試合で打率.500、4本塁打と秋山の穴を埋める活躍。源田壮亮、森友哉、山川穂高、中村剛也、栗山巧ら主力も順調で、さらに川越誠司、鈴木将平、呉念庭といった若手も成長し、層の薄さも解消されつつある。チーム全体の走力も高く、一発長打に足を使った攻撃で今季も相手投手を粉砕していく。投手陣では新鋭のアンダースロー・與座海人に期待。抜群の投球術で勝利を稼ぎそうだ。14年ぶりに西武に復帰した松坂大輔がいつ一軍マウンドに立つかも注目される。

 層の厚さは12球団随一のソフトバンク。出遅れていた千賀滉大に無理をさせず、ケガから復帰したばかりの高橋礼も先発では起用しない。それでも、コマは充実している。東浜巨、和田毅、二保旭、バンデンハーク、石川柊太、そして新外国人のムーアが名を連ねる先発ローテは強力。中継ぎ陣も経験豊富な嘉弥真新也、森唯斗らが新戦力の津森宥紀らを支える。攻撃陣では三番・柳田悠岐、四番・バレンティンの重量コンビとともに、練習試合でも打撃好調だった上林誠知と栗原陵矢の勢いが、再来日未定のグラシアル、デスパイネの穴を感じさせない。工藤公康監督は練習試合で「二番・柳田」の超攻撃型オーダーを試し、周東佑京に遊撃を守らせるなど策をめぐらす。「ある程度は固定」と語るが、状況次第では積極的に動いてくる可能性もある。

 三木肇新監督の下で戦う楽天。投手陣の軸は則本昂大とロッテから加入した涌井秀章で、腰痛の影響で出遅れていた岸孝之が戻ってくればさらに強固なものとなる。救援陣にもアメリカ帰りの牧田和久が新たに加わった。打線は浅村栄斗とブラッシュが中心で、前オリックスのロメロの加入によりさらに厚みが増し、ロッテからFA移籍の鈴木大地も貴重なつなぎ役として機能しそう。注目すべきは、絶対的クローザー・松井裕樹の先発再転向。これらの要素がうまくハマれば、昨季の3位以上の成績も期待できるだろう。近年の大型補強がクローズアップされるが、指揮官が掲げるのは「考える野球」。巧みな戦術や機動力を駆使した、楽天が今まで見せたことのない細かい野球が見られるかもしれない。

 ソフトバンクから俊足巧打の福田秀平、楽天から先発右腕の美馬学と、FAで2選手を獲得。救援には元広島・ジャクソンとハーマンの助っ人を招き入れ、適確な補強で戦力を上げている昨季4位のロッテ。昨季はレアードの加入もあってチーム本塁打158と長打力が増した打線に福田秀が加わり“足攻”も可能に。阪神から加入の鳥谷敬もバックアッパーとして控え、攻撃パターンは増している。ただ、問題は投手陣。種市篤暉、二木康太、小島和哉、岩下大輝など若手主体と、過密日程を戦う中で経験不足が心配される。それだけに、美馬、石川歩が、どれだけ安定して成績を残せるかがカギとなるだろう。不振や故障で“投壊”となれば、話題のドラフト1位・佐々木朗希の一軍デビューが早まる可能性もありそうだ。

 エース・有原航平を軸に杉浦稔大、加藤貴之、金子弌大、マルティネス、バーヘイゲンらが先発ローテに名を連ねる昨季5位の日本ハム。さらにケガからの復活を目指す上沢直之も序盤には戦列に戻れそうで、昨季より確実に層は厚くなった。それでも栗山英樹監督は異例のシーズンということで、序盤は選手に無理をさせずに加藤、金子らをフレキシブルにショートスターターまたは第2先発に回すなど、1枠増えたベンチ入りメンバーをフル活用してやり繰りしていくことを示唆。一方の打線は新戦力のビヤヌエバが虫垂炎で開幕に間に合わないのは痛手だが、横尾俊建、平沼翔太、さらに売り出し中の野村佑希らで穴を埋めていく。大胆な選手起用、メジャー流の緻密なデータに基づいた守備シフトをはじめ、栗山マジックとも呼ばれる巧みなタクトで下馬評の低さを覆すような戦いを見せたい。

 昨季は最下位に沈んだオリックス。過密日程を追い風に変え得るのが、コマがそろう先発投手だ。山岡泰輔、山本由伸の両右腕に、2017年ドラフト1位左腕の田嶋大樹を加えた3本柱の形成が期待され、アルバース、K-鈴木、荒西祐大、榊原翼ら多士済々。連戦が続く中でも先発不足に陥る心配はなく、ブルペンの負担も軽減できそうだ。課題の打力も向上の兆し。新助っ人・ジョーンズ、ロドリゲスに加え、T-岡田が復調。後藤駿太、若月健矢と守備力重視の面々も練習試合で本塁打を放つなど、打線に厚みを増している。昨季は吉田正尚にマークが集中したが、今季は福田周平、安達了一らの足も使って多彩な攻撃を演出する。5年連続Bクラスと低迷しているものの、投打ともに若手が着実に力をつけ浮上の気配が漂う。

【文責:週刊ベースボール】