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【コラム】移籍後初、743日ぶりの勝利を飾った西武・内海哲也。“偉大な父”の新たな野球人生

 両足太ももがつりながらも左腕を振った。9月2日のロッテ戦(ZOZOマリン)、西武移籍後2度目の先発となった内海哲也は4回まで無安打無得点の好投。ストレートの球速は135キロ前後だが、変化球を低めに集め、投球術を駆使してロッテ打線に的を絞らせない。しかし0対0で迎えた5回、危機が訪れる。菅野剛士に一塁内野安打を打たれノーヒットノーランが途絶えたが、一塁へベースカバーに走った際、内海の両足ふとももがつった。さらに、続く田村龍弘に右前打を浴び、このときもベースカバーで激痛が走った。二死一、三塁のピンチ。38歳のベテランは最後の力を振り絞る。1ボール1ストライクから内角高めのツーシームで和田康士朗を三邪飛に仕留め、ゼロで切り抜けた。6回、味方打線が先制点を入れ、勝利投手の権利を手に入れた内海は交代。その後、リリーフ陣が逆転を許さず、内海は巨人時代の2018年8月21日のDeNA戦以来、743日ぶりとなる白星を手に入れた。

 「ようやくライオンズの一員になれたと思います。与えられた試合でベストを尽くしてようやく貢献できたので、これを何回も続けられるように頑張りたい」

 強い闘争心――。これが内海の真骨頂だ。巨人時代の07年9月19日の阪神戦(甲子園)のピッチングは忘れられない。先発した内海は4回の打席でボーグルソンから右側頭部に死球を受けた。いったんベンチに下がったが、「大丈夫です」と言って一塁へ。圧巻だったのはその裏。赤星憲広、シーツ、金本知憲から3者連続三振を奪った。「あそこで打たれると死球の影響があると思われてしまうので、3人で抑えようと思っていました」。結局、内海は13三振を奪い、1カ月ぶりの13勝目をマーク。チームの阪神戦の連敗も6で止め、首位を行く猛虎に0.5ゲームと肉薄。この年、巨人は5年ぶりの優勝を果たしたが、内海の働きは大きかった。

 ただ、新天地で過ごした昨年は「苦しさしかなかった」という。開幕を前に左浅指屈筋肉離れのため離脱し、シーズン中も回復と再発を繰り返してプロ入り初の一軍登板なしの苦渋を味わった。さらに自ら志願して参加した秋季教育リーグでの登板で再び左前腕を痛め、オフに筋腱修復手術を決断。募る危機感の中、今年を「勝負の年」と位置付けていた。自主トレも「自分のことだけに集中できる」と後輩を連れず、自分一人で行った。術後のリハビリ、トレーニング、春季キャンプと慎重かつ綿密にステップ踏み、ようやく3月19日、練習試合として行われたDeNAとの二軍戦で約5カ月ぶりのマウンドに上がった。

 開幕後は二軍で調整を続けていたが、家族の存在も大きかった。

 「なんとか一軍の先発ローテに割って入りたいという気持ちはあるし、まだあきらめていません。どうしても、一軍で投げている姿を子どもに見せたい。その一心。子どもたちも野球をやっていて、野球の難しさも分かってきている年齢なので、そういうなかで偉大な父でありたい。第一線で投げる姿を見せたいです」

 復活勝利を挙げた日は夫人と3人の息子、長女が球場を訪れていた。家族に“偉大な父”の生き様をしっかりと見せることができた背番号27。ベテラン左腕の新しい野球人生はまだ始まったばかりだ。

【文責:週刊ベースボール】