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【コラム】ロッテを15年ぶりの栄冠に導く、若き四番・安田尚憲のバット

 「ひるんだら負けやぞ」

 打席に入る直前、福田秀平からゲキを飛ばされて集中力が高まった。10月3日の西武戦(ZOZOマリン)。3対3と同点の7回、一死二、三塁のチャンスで打席に入ったロッテの四番・安田尚憲が森脇亮介が投じた真ん中カットボールを強くたたいた。打球は右中間席へ飛び込む決勝3ランに。9月6日のソフトバンク戦(PayPayドーム)以来、100打席ぶりの6号本塁打は値千金の一撃となった。「震える場面で回ってきたので、なんとかランナーをかえすという気持ちで入りました」と安どの表情を浮かべた安田。四番の役割を果たした充足感が体を包んでいた。

 昨季、イースタン・リーグで本塁打&打点の2冠を獲得し、飛躍が期待された高卒3年目。開幕直後は三番や五番を担う中で、快音を響かせることができなかった。「『結果を出さないといけない』と思い過ぎていて、あまり周りが見えていなかった」と振り返るが、その中で助っ人の一言が心に響いた。「マーティンに言われたんです。『自信を持って打席に立て。打席の中では、自信がない姿を見せるな』と。ハッとしました。しっかりと自分のスイングをする。その大事なことを思い出させてもらえました」。

 7月21日の西武戦(メットライフ)から四番に抜てきされた。「四番で出ると知ったのは試合直前だったので、ビックリしました。四番を打つとは思っていなかったので『まさか』って。でも、うれしかったんです。一軍の舞台で、四番を打たせてもらえることは光栄なこと。『やってやるぞ』という気持ちが、すぐに出てきました。全然、打てていなかったので、深く考えずにシンプルに。開き直っていくしかないな、と。ランナーがいる場面なら、そのランナーをかえすことだけを考えて、打席に向かうようにしました」。

 四番に座り始めてから、ここまでその座を守り続けている。10月5日現在、打率.234、6本塁打、47打点と四番として物足りない数字だが、“自信”の2文字を絶対に忘れていない。「『オレが四番バッターだ』と言い切れるほどの実力はまだないので、プレッシャーを感じないようにしているんです。ただ、チャンスで多く打席が回ってくる打順。打撃にしても、守備にしても勝敗にかかわる部分が大きいので、責任感はあります。でも、それも含めてやりがいという感じなんです。プロ野球選手を夢見て小さいころから野球をしてきた中で、一軍でプレーできている。楽しさと言ったらちょっと違うかもしれないですけど“やりがい”を強く感じているんです」。

 9月に入って井口資仁監督からは「原点に戻れ」と指摘された。しっかりトップを作り、上からバットを出してストレートをはじき返す――キャンプから練習してきたことにあらためて力を入れている。さらに、ベテランの鳥谷敬からも貴重なアドバイスをもらった。「『良いときも悪いときもプロは次の試合が来る。だからリセットする力が必要だよ』と。技術的な意味もありますが、1日の最後にバットを振ってリセットしている。バットを振る数は決めず、納得いくまでやるんです」。日々新たな気持ちでシーズン終盤戦を戦っている。

 10月4日の西武戦(ZOZOマリン)でも1対1と同点の3回二死一、二塁で左中間へ決勝2点二塁打。連日、ヒーローとなり、お立ち台に上がった。「とにかく試合に出続けたい。このまま一軍で完走して、チームの勝利に貢献し続けられる選手でありたいと思っています」。首位・ソフトバンクと激しい優勝争いを繰り広げているが、若き四番のバットがチームに15年ぶりの栄冠を手繰り寄せる。

【文責:週刊ベースボール】