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【コラム】球団新人37年ぶりの快挙達成! “ジャンボ”な存在感を発揮する阪神・伊藤将司

 本塁打、打点でリーグ上位の数字を残す佐藤輝明だけではない。首位を快走する阪神でドラフト2位左腕の伊藤将司も新人離れしたピッチングでチームを支えている。5月8日のDeNA戦(横浜)、今季4度目の先発マウンドに上がった伊藤将は8回1失点の好投。球団の新人では1984年の池田親興以来、37年ぶりとなる開幕から無傷の3連勝をマークした。この日は25歳の誕生日。伊藤将は「いい誕生日を迎えられました」と笑顔を浮かべたが、さらに「高校時代にお世話になった場所でプレーできたのはうれしい」と続けた。横浜高で2回甲子園に出場した伊藤将にとって、慣れ親しんだ横浜スタジアムで快挙達成を遂げて万感の思いが込み上げた。

 小学1年時、父の影響で野球を始めた伊藤将。横浜高では高卒でプロ入りした淺間大基、髙濱祐仁(ともに日本ハム)、明大を経てプロへ進んだ渡邊佳明(楽天)と同級生でもある。進学した国際武道大では全日本大学選手権で2度の準優勝。2、3年時には大学日本代表でもプレーした。大学4年時にプロ志望届を提出も、指名漏れ。JR東日本に入社したが、2年目の昨年、都市対抗第1代表決定戦でNTT東日本を9回一死まで無安打無得点に抑える快投。チームを11年連続23回目の本戦出場に導いた。豊富な経験はプロでも生きている。「投球や性格も、あまりルーキーということを思わせない」と矢野燿大監督も絶賛。5月10日現在、規定投球回に達していないが、防御率1.55と抜群の安定感を見せている。

 大学時代から能見篤史(当時阪神、現オリックス)の動画を繰り返し見て、投球術を学んだ。「自分が目指すべき、尊敬できる投手。コーナーに投げ分ける技術も素晴らしい。自分もスピードよりキレや制球で勝負するタイプなので、打者の打ち取り方を考えてきました」。グラブを高く掲げる独特の投球フォームからキレのあるストレートとチェンジアップ、カットボール、カーブ、フォーク、ツーシームといった変化球を同じ腕の振りで投げ込む。「自分の体から隠れて出てくるイメージで投げています」と本人は言うが、捕手の梅野隆太郎も「後ろから隠れてピュッと出てくる感じ」と証言。打者にとって球の出どころが見えづらいフォームで幻惑している。

 プロ初登板となった3月31日の広島戦(マツダスタジアム)では4回二死二塁の場面で投手の床田寛樹に同点適時二塁打を浴びた。勝敗はつかなかったが、抑え込むべき場面で痛打された反省を次の登板に生かした。4月7日の巨人戦(甲子園)では7回1失点。「強打者がいるチームなので、その中で粘り強い投球ができたのが良かったです」と胸を張った。「巨人戦初登板でプロ初勝利」は球団新人では史上初の快挙でもあった。

 ゴルフ好きの父によって、プロゴルファーのジャンボ尾崎にちなんだ「将司」という名を授かった。佐藤輝の陰に隠れているが、これからも新人らしからぬピッチングで勝ち続ける。“ジャンボ”な存在感を発揮して、16年ぶり優勝への力となっていく。

【文責:週刊ベースボール】