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【コラム】“怪物右腕”佐々木朗希がついに一軍デビュー、勝利を逃すもロマンあふれる投球を披露

 ついに、大型右腕がベールを脱いだ。大船渡高で最速163キロをマークした佐々木朗希。2019年秋のドラフトで4球団競合の末、ロッテに入団したが、黄金ルーキーと騒がれた昨季は異例の開幕から“一軍帯同”で実戦登板なしに終わっていた。目の前ではチームメートたちが試合に向けて準備をしている。選手ならば、試合に出たいと思わないわけがない。「もちろん、投げたかったです」と佐々木朗は明かしたことがあったが「でも……」と付け加えた。

 「気持ちもコントロールしないといけない。監督、コーチを含めて、いろんな方の話を聞いて、今、自分ができる最善を尽くすために、やらなければならないことに取り組もう、と。そうやって気持ちをコントロールしていたんです」

 プロ野球選手としての将来を見据えることで“投げたい”という欲望をコントロール。そのなかで己の肉体と向き合い、“自分を知ること”に重きを置いたという。そして、あらためて実感したのは「体の長さ」だった。身長190センチを誇り、手足はほれぼれするほど長い。自らの特徴を生かすために高校時代から柔軟性にこだわってきた。

 「柔軟性があるからパフォーマンスが発揮できるし、ケガをしない。トレーニングも、体のケアも含めて。『長さ』を生かすためにも、『柔らかさ』を大事にしたいとあらためて思いました」

 思考力にも長ける佐々木朗は順調の成長曲線を描いた。今季はイースタン・リーグ5試合で計20イニング、19三振を奪って自責点1、防御率0.45と圧倒的な結果を残して、ついに一軍昇格。5月16日の西武戦(ZOZOマリン)で先発マウンドに上がった。初回、注目の第1球は真ん中への151キロ直球。これを若林楽人に左翼前に運ばれると、すかさず盗塁を決められ、いきなりピンチを招く。一死後、三番・森友哉に中前打を浴び一、三塁。それでも慌てなかった。山川穂高はフォークで空振り三振、栗山巧は左飛と力感のないフォームからキレのあるボールを投げ込み、ピンチを脱した。

 2回も無失点。4点の援護をもらった3回には一塁手・レアードの失策から連打を浴びるなど3点を失い、5回には二死三塁から暴投で同点とされたが、最後まで大きく制球が乱れることなく5回4失点(自責2)で降板した。直後の5回裏に味方打線が勝ち越し、勝利投手の権利が舞い込むも、試合は6対6の引き分け。初勝利こそお預けとなったが、上々のデビュー戦となった。

 もちろん穴はある。変化球が抜けることが目立ち、2回を除く4イニングで5盗塁を許し、井口資仁監督も「クイックだったり、いろんな課題がある」と指摘する。だが、最速は154キロを計測。71球を投じた直球は、64球が150キロを超えた。ロマンあふれる大型投手であるのは間違いない。佐々木朗本人は「いずれは先発投手として、アベレージで100マイル(約160キロ)近く投げられるようになりたい」と理想を語っている。

 登板翌日の17日に出場選手登録を抹消。だが、一軍に舞い戻ってきたとき、どれだけ進化した投球を見せてくれるか、楽しみは尽きない。

【文責:週刊ベースボール】