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【コラム】無失点記録を継続する広島の新人守護神。静かに、熱く燃える栗林良吏

 広島がリードした9回のマウンド。今季は背番号20が仁王立ちしている。2019年に甲斐野央(ソフトバンク)が記録した2リーグ制後の新人デビューからの連続試合無失点記録13を更新した守護神・栗林良吏だ。記録を18として迎えた5月28日のロッテ戦(ZOZOマリン)も10対8の9回にマウンドへ。山口航輝、荻野貴司を中飛に仕留めると、最後はパ・リーグ本塁打ランキングでトップを走るマーティンをフォークで見逃し三振。コロナ禍に揺れたチームに9日ぶりの勝利をもたらす節目の10セーブ目をマーク。5月までに新人が10セーブ以上を挙げたのは2004年の三瀬幸司(ダイエー)、15年の山﨑康晃(DeNA)に続く3人目の快挙だった。

 この日は5回途中からリリーフした同じ新人の森浦大輔がプロ初勝利の権利をつかんでいた。「森浦の勝利を消さないようにしなきゃと思って投げていました」と一層気合が入っていた栗林は「マウンドに行くまでの過程で、チームの皆やファンの皆さんに背中を押して送り出してもらえることを力に変えて、今はやっています」と語る。“誰かのために投げる”という思いが好成績につながっているのだ。

 「やっぱり野球をやる上で、自分のために野球をやるというのは違うかなと思っているので。人のためにやっているという考えがあれば、9回のマウンドに立つにしても、自分が投げることでチームが勝てると思えますし、そこまで投げてきたピッチャー、打ってくれたバッターに喜んでもらえる。そういうふうに考えているのがいいのかなと思います」

 大学(名城大)、社会人(トヨタ自動車)を経て24歳でのプロ入り。数多くの経験を積んできただけに考え方も大人だ。連続試合無失点記録もまったく気にならなかったという。

 「9回を投げる立場ですから、そんなことを考えている余裕もないです。それに、やはり自分がゼロで抑えるというよりも、チームの勝利。3点差までなら2点まではOKという考え方になるので。そういう意味ではあまり意識することなくやれていたのかなと思います」

 記録が途絶えたとしてもピッチングが狂うことはない。“備え”は万全だ。

 「社会人のころから、細山田(武史、元DeNAほか=プロ退団後トヨタ自動車所属)さんや吉見(一起、元中日=トヨタ自動車OB)さん、山内(壮馬、元中日ほか=名城大時代のコーチ)さんといった元プロ野球選手の方と話をさせていただいてアドバイスを聞いています。井端(弘和、元中日ほか)さんにも、『切り替えの仕方がプロ野球選手としては一番大事だよ』と教えてもらっているので、いろいろ実践してみて、自分に合うやり方を探そうと思っています」

 佐藤輝明(阪神)らとのハイレベルな争いを制してチームでは昨年の森下暢仁に続く新人王獲得、そして15年に山﨑が記録した新人最多セーブ記録37の更新にも期待がかかるが「遠い目標を見るのではなくて、近い目標をこなしていって、1年間終わったあとに、新人王を獲れたという形になればいいかなと思います」と冷静な姿勢を崩さない栗林。静かに、熱く燃えてシーズンを戦い抜く。

【文責:週刊ベースボール】