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【2021セ・リーグ回顧】ヤクルトが2年連続最下位から日本一、巨人はシーズン終盤の失速が響きリーグ3連覇ならず

 昨季まで2年連続最下位に沈んだヤクルトが、20年ぶりの日本一に駆け上がった。開幕は阪神に同一カード3連敗を喫したが、その後は状態を徐々に上げていく。8月まで巨人、阪神と三つ巴の争いだったが、9月に13勝8敗5分、10月が13勝7敗2分と一気に突き放した。主将・山田哲人、本塁打王を獲得した四番・村上宗隆を核に、オスナ、サンタナの両外国人が機能し、塩見泰隆もリードオフマンに定着。ベテラン・青木宣親、中村悠平の貢献度も高く、代打の切り札・川端慎吾は打率.372と勝負強さを発揮した。投手陣も2ケタ勝利は1人もいなかったが、奥川恭伸、高橋奎二が台頭。セットアッパーの清水昇は日本新記録の50ホールドをマークした。シーズン途中にマクガフを守護神に配置転換するなど、高津臣吾監督の采配も光った。

 リーグ優勝にあと一歩届かなかった阪神は3、4月に月間成績20勝9敗と首位を快走していたが、後半戦に入ると大山悠輔、マルテら主軸の調子が上がらず失速。86失策は4年連続で12球団ワーストと守備の綻びも目立ち、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで巨人に敗れた。明るい材料は新戦力の躍動だ。ドラフト1位の佐藤輝明は後半戦にスランプで苦しんだが、新人左打者最多の24本塁打をマーク。ドラフト2位の伊藤将司も先発ローテーションを1年間守り抜き、10勝を挙げた。ドラフト6位の中野拓夢は遊撃のレギュラーに定着し、30盗塁で盗塁王に。投手陣は青柳晃洋が13勝で最多勝、勝率第一位(.684)を獲得。ほかに秋山拓巳、髙橋遥人、西勇輝らとリーグ屈指の陣容だけに、打線強化がV奪回のカギを握る。

 リーグ3連覇を狙った巨人は後半戦の大失速が響いた。エース・菅野智之が不調の中、髙橋優貴が自己最多の11勝をマーク。前半戦は救援陣がフル稼働して首位争いを演じていたが、9月から10勝25敗8分と大きく負け越し。CS圏内の3位を死守するのが精いっぱいだった。丸佳浩が打撃不振で二軍降格を味わい、新外国人のスモーク、テームズ、途中加入のハイネマンがシーズン終了を待たずに帰国。8月下旬に日本ハムから電撃トレードで加入した中田翔も打率.154、3本塁打、7打点と誤算が続いた。岡本和真は39本塁打、113打点で2年連続2冠王に。左ワキ腹痛でCSは出られず、ファイナルステージでヤクルトに敗れたが、四番として立派な働きぶりだった。

 3年連続Bクラスの広島は交流戦で最下位に沈むなど、前半戦は苦しんだ。9月以降は26勝18敗2分と状態を上げたが、CS進出に届かず。個々の能力は上位3球団と見劣りしない。九里亜蓮は13勝で最多勝を獲得。守護神に抜擢されたドラフト1位・栗林良吏は防御率0.86で37セーブと圧巻の数字を残した。自身2度目の首位打者を獲得した四番・鈴木誠也がメジャー挑戦を表明したが、打率.315とブレークした坂倉将吾を筆頭に小園海斗、林晃汰、宇草孔基と成長著しい素材がズラリ。投手陣も高卒2年目左腕の玉村昇悟が先発で4勝と頭角を現し、救援は日本球界最速タイの165キロを計測したコルニエル、島内颯太郎など楽しみな投手が多い。

 5位の中日は得点力不足が低迷の大きな要因になった。投手陣はリーグトップのチーム防御率3.22をマーク。柳裕也は11勝6敗、防御率2.20で自身初の最優秀防御率、最多奪三振(168)のタイトルを獲得した。先発陣は大野雄大、小笠原慎之介、松葉貴大、福谷浩司と力のある投手がそろい、救援陣も安定していたが、打線に目を移すと、今季のチーム総得点405は断トツのリーグ最下位だ。レギュラーが確定しているのはビシエド、大島洋平、正捕手に定着した木下拓哉ぐらいか。高橋周平、京田陽太は潜在能力を考えれば活躍してもらわないと困る選手だ。得点力アップへ、根尾昂、石川昂弥、岡林勇希、土田龍空ら若手の台頭も望まれる。

 6年ぶりに最下位に沈んだDeNAはスタートダッシュに失敗したのが大きく響いた。開幕から2つの引き分けを挟んで6連敗。その後も4月に10連敗を喫するなど3、4月の月間成績は6勝21敗4分。先発陣が崩壊状態で、守護神も三嶋一輝がシーズン終盤に失点を重ねる登板が続き、山﨑康晃が2年ぶりに抑えに配置転換されたが機能せず。大きな光はドラフト2位の牧秀悟だ。開幕からレギュラーに定着し、シーズン終盤に四番を務めるなど打率.314、22本塁打、71打点。35二塁打は長嶋茂雄(現巨人終身名誉監督)を超えるリーグ新人最多記録、打率3割&20本塁打を新人で記録したのは史上4人目の快挙だった。打線の破壊力はリーグ屈指だけに、投手陣の整備が急務だ。

【文責:週刊ベースボール】