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【コラム】プロ初本塁打&初完投をマークした阪神・西純矢、2001年世代の先導者・佐々木朗希から得た学び

 投打で強烈なインパクトを残した。5月18日のヤクルト戦(神宮)、阪神球団では2007年のボーグルソン以来、15年ぶりに投手として八番でスタメンに名を連ねた西純矢。まずはバットで魅せた。2回、二死一塁で打席に入ると高橋奎二が投じた初球の150キロ内角直球にバットを一閃。球場のどよめきを切り裂いた打球は左中間席中段に飛び込む豪快なプロ1号2ランとなった。「待っているところに来て、バットを振ったら入って、びっくりしました。打った瞬間、“行った”と思ったので、すごくうれしかったです」。手ごたえ十分の一撃に笑みがこぼれた。創志学園高では四番に座り高校通算25本塁打をマーク。19年に韓国で開催されたU-18W杯では投手兼外野手で大会最多の2本塁打を記録。打力に定評があったが、その力を存分に見せつけた。

 投げても右腕がうなった。大量点に守られながら危なげないピッチングを披露。6回、山田哲人にソロを被弾するなど6安打を浴びたが、四死球はゼロと安定感は抜群。球威も最後まで衰えない。9回、最後の打者、長岡秀樹をフルカウントから151キロ直球で遊ゴロに仕留めてゲームセット。115球の熱投で今季2勝目をプロ初完投で飾った。「(坂本)誠志郎さんのリードのおかげで最後まで投げられました。最後は“気持ちで行くしかない”と思って投げました」と西純。矢野燿大監督は「若いピッチャーが先発でこうやって出てきてくれるのは、すごくうれしい」と手放しで称賛した。

 高卒3年目、2001年生まれの西純は黄金世代の一員だ。昨年はヤクルトの奥川恭伸、オリックスの宮城大弥、紅林弘太郎がチームの優勝に貢献。さらに阪神の及川雅貴、巨人の堀田賢慎、ヤクルトの長岡、広島の玉村昇悟、中日の石川昂弥、岡林勇希、楽天の黒川史陽、そしてロッテの佐々木朗希――。同学年には球界の未来を担う逸材たちの名前が並ぶ。なかでもやはり今季、完全試合を達成するなど異次元のピッチングを続ける佐々木朗からは学ぶことが多いという。

 「朗希のボールはえぐいので、次元が違うと思うのですが……アイツはどんな状況でもバンバン、ストライクを投げていきますよね(笑)。つまり積極的にストライクゾーンを通していくスタイル。そうすることで打者に考えるスキを与えていないんじゃないかな、と思って見ています」

 “佐々木朗スタイル”から得た学び。西純もそれを参考にした結果、プロ初完投につながった。

 「打者が積極的に打ちにきてくれるので、球数も抑えられて長いイニングを投げられるのかな、と。朗希のようなピッチングをしていこうと考え、それを実践したことで良い結果が出ました。本当にいいお手本というか、ありがたいですね」

 同世代の活躍に「本当に刺激になります。というか刺激を受けてばっかりですね(笑)」と苦笑するが、西純が“与える側”になる可能性は十分にある。持ち味は「タフ」であることだともいう。黄金時代の先頭に立つためにも、たくましく時代を切り開いていく。

【文責:週刊ベースボール】