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【SMBC日本シリーズ2022展望】ヤクルトとオリックスが2年連続で激突。ヤクルトは球団史上初の2年連続日本一なるか、オリックスは昨年のリベンジに燃える

 セ・リーグの覇者・ヤクルトとパ・リーグの覇者・オリックスがCSファイナルステージを勝ち抜き、2年連続日本シリーズで激突する。

 CSファイナルステージの戦いぶりを見ると、チーム状態は共に上向いている。ヤクルトはCSファーストステージを勝ち抜いた3位・阪神に3連勝。アドバンテージの1勝を含めて一度も負けなかった。明るい材料は四番・村上宗隆の復調だ。今季は22歳で史上最年少の三冠王、日本選手最多の56本塁打を樹立したが、シーズン終盤に13試合、57打席ノーアーチとスランプに。安打も出なくなり打率が降下したが、最終戦となった10月3日のDeNA戦(神宮)で7回に56号右越え弾。メモリアルアーチで精神的に楽になったのだろう。神宮で行われたCSファイナルでは13日の第2戦で、3回に藤浪晋太郎から左翼席へ逆転2ラン。14日の第3戦も1点差を追いかける7回二死満塁で、投手前に転がったボテボテのゴロが敵失を誘い、走者一掃で3得点が入り逆転勝利とツキも味方につけている。

 バットが振れているのは村上だけではない。オスナは第1戦の初回に先制3ラン、第2戦も2戦連発の2ランの活躍でCSのMVPを獲得。シーズン終盤に調子を落としていたサンタナも第1戦で6回に2ランを放つなど3打点と勝利に貢献した。ヤクルトは得点力の高さが大きな武器だけに、中軸の選手たちが良いコンディションを維持できているのは頼もしい。

 昨年の日本シリーズはオリックスと共に前年の最下位からリーグ優勝を飾った「下克上決戦」。4勝2敗でヤクルトが制したが拮抗した試合の連続だった。第1戦にサヨナラ負けを喫して先勝を許したが、第2戦で左腕・高橋奎二がプロ入り初の完封勝利を飾ったことで、シリーズの流れが大きく変わった。高橋は今季、8月上旬に新型コロナウイルス感染で2カ月間戦線離脱した影響もあり、2ケタ勝利に届かなかった。復帰登板となったCSファイナル第3戦では5回3失点。要所で踏ん張れず悔しい投球となったが、直球の球威、変化球のキレを取り戻していた。エース・小川泰弘と共に日本シリーズのキーマンになるだろう。髙津臣吾監督も「92年、93年以来の連覇で、初の連続日本一を目指して頑張りたい」と気合十分だ。

 混戦のパ・リーグを制したオリックスは、CSファイナルでアドバンテージの1勝を含め、4勝1敗で2位・ソフトバンクを撃破した。主砲・杉本裕太郎の復活が一番の収穫だろう。昨季は打率.301、32本塁打、83打点で本塁打王獲得と大ブレークしたが、今季は春先から調子が上がらず、打率.235、15本塁打、51打点と数字を大きく落とした。短期決戦での巻き返しが期待される中、12日の第1戦で先制の押し出し四球を選ぶなど2安打2打点の活躍。13日の第2戦も初回に遊撃強襲の同点適時打、同点の5回に左翼席中段へ決勝2ランを放つなど猛打賞3打点とチームを勢いづけた。CSファイナルで打率.462、2本塁打と大活躍でMVPに輝いた四番・吉田正尚、CS第4戦でサヨナラ打を放った三番・中川圭太も好調で和製クリーンアップは破壊力十分だ。

 先発陣の安定感ではヤクルトを上回る。史上初の2年連続「投手4冠」を達成した絶対的エース・山本由伸を筆頭に、宮城大弥、田嶋大樹、山岡泰輔、山﨑福也と左右のバランスが良く質の高い投手がズラリ。懸案だった救援陣も勝利の方程式を確立している。シーズン途中に先発から配置転換された山﨑颯一郎、育成から支配下登録されてブレークした宇田川優希は150キロ中盤の直球を武器にセットアッパーに定着し、三振奪取能力が高い。38歳のベテラン・平野佳寿はシーズン終盤に調子を落としたが経験豊富で救援陣の精神的支柱としても心強い。その平野佳に代わる形でセットアッパーから守護神に抜擢された阿部翔太は、大舞台でも強気の投球を貫いている。

 昨年の日本シリーズではヤクルトに敗れ、今季の交流戦では1勝2敗。村上に本塁打は許さなかったが3戦で10打数5安打と打ち込まれただけに、雪辱を期す決戦でどう抑えるか。中嶋聡監督は「去年しっかり負けましたので、今年は何とかやり返したいと思います。またみなさまの力を借りると思いますけれども、一緒に日本シリーズ戦いましょう一緒に日本シリーズ戦いましょう」とファンに呼びかけた。投打共に充実した戦力で、26年ぶりの日本一を狙う。

【文責:週刊ベースボール】