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【コラム】オリックス・山本由伸が2度目のノーヒットノーラン、リーグ3連覇へ道しるべとなるピッチング

「ランナーを出していないことは分かっていました」

 9月9日のロッテ戦(ZOZOマリン)、頭によぎった完全試合は6回、先頭の安田尚憲にストレートの四球を与えて途切れたが、ここからがオリックス・山本由伸の真骨頂だった。「ランナーを出したあとの一発目、クイックに変わったときを、しっかり意識して」と、まず田村龍弘をカーブで中飛に打ち取る。続く藤原恭大はフォークで二ゴロ。ランナーは進んで二死二塁となったが、荻野貴司は154キロ直球で中飛に仕留めた。走者を許してもまったく崩れることなく、無安打投球を継続する。

 大記録が近付いてきた8回にはエンジン全開。先頭の山口航輝は156キロ直球で見逃し三振、角中勝也はフォークで空振り三振、そして安田もフォークで空振り三振に斬って取りガッツポーズを見せた。9回には二死から荻野に死球。しかし、意に介さない。最後は藤岡裕大をフォークで二ゴロに打ち取り、ノーヒットノーランを達成した。

「今年は完封もできていなくて、少しでも長く行けたらなと思っていたので。最高の結果になって良かったです」と笑顔を浮かべた山本。歓喜のウォーターシャワーを浴びた敵地・ZOZOマリンは昨年4月、ロッテ・佐々木朗希に完全試合を成し遂げられた場所だ。「ファンの方が一番悔しかったかもしれない。何とか達成できて良かったです」とスタンドに頭を下げた。

 史上88人目、100度目のノーヒットノーラン。山本は昨年6月18日の西武戦(ベルーナドーム)でも成し遂げているが、2度の達成は1971年の近鉄・鈴木啓示以来52年ぶり10人目。2年連続の達成は巨人・沢村栄治の36、37年、イーグルス・黒鷲の亀田忠の40、41年に次いで3人目で、2リーグ制以降は初の偉業だ。

「最近ずっと試合直前に『完全試合をしましょう』って毎回言っていたので」と捕手の若月健矢は明かしたが、充実のピッチングで3連覇へ突き進むチームをけん引している。2021年から2年連続で沢村賞を獲得。投手主要4部門(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、勝率第一位)も独占した。今季は世界一に輝いたワールド・ベースボール・クラシック出場の影響もあったのか、最初の3試合で1勝2敗とロケットスタートを決めたわけではない。それでも気が付けば投手4冠を狙える「定位置」に。9月11日現在で14勝、防御率1.26、145奪三振、勝率.737はいずれもリーグ1位だ。さらに143イニングで与四球24とK/BBは4.88から6.04と向上。精度は昨季より確実に上がっている。

 エースの存在感が際立つ。今季、山本が登板直前の試合でチームが敗戦したのは9度。うち6度は連敗中だった。頂点に立つために大型連敗は避けたいところだが、チーム敗戦直後の登板で9勝負けなし。ノーヒットノーラン直前もチームは西武に連敗していたが、最高の形で負の流れを断ち切った。

 優勝へのマジックナンバーを「10」としているオリックス。V目前となっているが、絶対的エースがいる限り、視界は良好だ。背番号18が3連覇への道しるべとなる。

【文責:週刊ベースボール】