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【コラム】伝統の一戦で若虎が3安打&4打点の猛打、自然体でV戦線に挑む阪神・前川右京

 伝統の一戦で若虎のバットが火を噴いた。8月1日の巨人戦(甲子園)。阪神・前川右京は初回二死満塁で一、二塁間を破る先制2点適時打を放つと、3対1で迎えた5回二死一、二塁では相手を突き放す右前適時打。さらに6回二死一、三塁ではダメ押しの適時打を中前に運び、9対2の勝利に貢献した。これで同一カード3連勝。阪神甲子園球場100周年記念式典が行われたメモリアルな試合で今季3度目の猛打賞、自己最多タイの4打点と存在感を見せつけた。

 甲子園球場は前川にとって、高校時代から慣れ親しんだ場所だ。智弁学園高で1年夏から聖地に足を踏み入れ、3年春にはセンバツでベスト8。同夏には2本のアーチを架けるなど準優勝に貢献した。「甲子園を目指して野球をやってきて、今は本拠地としてプレーできている。成長させてくれる場所。感謝の気持ちを忘れず、これからもやっていきたい」とあらためて決意を述べた。

 高卒3年目の今季、3月29日の開幕・巨人戦(東京ドーム)に六番・左翼でスタメンに起用された。高卒3年目で開幕スタメン出場は2016年の横田慎太郎以来、球団史上8年ぶりの快挙だった。その後も二、三、五、六番とさまざまな打順で起用され、加速度的に成長。8月5日現在、80試合に出場して、打率.275、2本塁打、31打点をマーク。打線に欠かせない存在として岡田彰布監督からも厚い信頼を受けている。

 昨年は33試合に出場。6月に月間打率.358と爆発したが、8月2日に出場選手登録を抹消されて以降は体調不良で実戦から遠ざかり、リーグ優勝、38年ぶりの日本一を味わう歓喜の瞬間をグラウンドで迎えられなかった。その反省から、オフからコンディションづくりに腐心してきた。

「去年は体の面に関して認識が甘過ぎました。だからこそ、今年は同じことをしないぞ、という考えがあります。常に自分の体と会話しながら……そう言うと大げさかもしれませんが、今自分が何をするべきなのかを考えながら、日々を過ごしています。寮に帰って、しっかりと体のメンテナンス、ストレッチなどをするようになったので、そこまで調子の波が激しく違うということはなくなりました」

 さらに、甲子園では試合出場前に「仮眠」をとっているという。

「そうすることで試合に入るときに、気持ちも体もある程度すっきりすると思うので、試合に集中して入り込めるようになっています。去年も仮眠はとっていましたが、毎回ではなかったので。今では試合前に寝ることを一つのルーティンとしています」

 心身ともに充実。ただ、気負いはない。首位・広島と1.5ゲーム差で3位の阪神は優勝に向けて勝負の時を迎えるが、前川はあくまで自然体だ。

「僕自身、チームに対して自分はこうしたいという立場の選手ではないですし、こういう数字を残したいと言える選手でもないと思っています。最終的にいい成績が残っていたというのが僕の中では理想というか、それでいいです。一つひとつしっかりとプレーしないといけない立場なので、その気持ちは今後も変わらないです」

 背番号58のひたむきな姿勢がチームを連覇へと導いていく。

【文責:週刊ベースボール】