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【コラム】精彩を欠いたプレーから8回に決勝弾、CSに向けて手応え十分の日本ハム・清宮幸太郎

「ずっと情けない打席が続いていて、チームにいい流れを全然持ってこられていなかったので、なんとか最後の最後でいいホームランが打てたかなと思います」と日本ハム・清宮幸太郎は言葉に力を込めた。10月5日、楽天戦(楽天モバイル)。三番・三塁でスタメン出場した清宮は2回の守備でゴロをファンブル。3回から一塁の守備に就き、5回から再び三塁を守る〝喝″を新庄剛志監督から入れられた。打撃でも初回無死一、二塁で遊ゴロ併殺打。3回は二ゴロ、5回二死三塁では空振り三振と精彩を欠いた。

 2対2の同点で迎えた8回の第4打席。これ以上情けない思いはしたくない。一死走者なしで打席に立つと集中力を高めた。カウント1-1から藤平尚真の高めに浮いたフォークを逃さずとらえる。舞い上がった打球は右翼席中段へと吸い込まれていった。決勝の15号ソロ。「逆転とか粘り勝ちが多いので、チームの流れがそうさせてくれているのではないかと思います」。チームに勝利を呼び込む一発にホッとした表情を見せた。

 7年目の今季、レギュラー定着を誓ったが1月の自主トレ最終盤に左足捻挫。春季キャンプは無念の二軍スタートとなった。4月19日に一軍昇格したが、打率0割台と3週間もたたずに二軍降格。6月11日に再び昇格したが、前半戦は打率.239、3本塁打、12打点に終わった。ただ光は見えていた。前半最終戦となった7月21日のロッテ戦(ZOZOマリン)で2打席連続アーチを放つなど4安打3打点の大暴れを見せていた。

 打撃上昇の兆しをつかんだきっかけは、ロッカーが近いアリエル・マルティネスとの会話だったという。7月中旬のことだ。

「『打ちにいくときにバットが一緒に付いていっているよね』みたいな話になって。ヒッチではないんですけど、大きくなくていいから、ちょっとだけ後ろに(バットを引く)というイメージで打つようになって、それがハマっているかな、と」

 体重移動を始める体と同時に動き始めていたバットを、少し引くイメージで我慢。すると、いわゆるトップができた。上半身と下半身の“割れ”もでき、ボールを呼び込めるようになり、強いスイングが生まれた。呼び込める“タメ”があるからタイミングも合わせやすくなったことが奏功した。それは数字に顕著に表れている。10月7日現在、後半戦では54試合に出場して打率.325、12本塁打、39打点をマーク。見違えるような打撃でチームの2位躍進に大きく貢献した。

 10月12日からはロッテとのクライマックス(CS)ファーストステージが始まる。今季はロッテ戦で打率.370、3本塁打、10打点。得意にしている相手との一戦で清宮のバットが猛打を振るう可能性は高い。

「今こうやってホームランが出ているのはCSに向けても、すごくいい兆候なのではないかなと思います」と5日の楽天戦後に手応えを口にしていた清宮。日本一への下克上に向けて、ポストシーズンで暴れ回る清宮の姿が見られそうだ。

【文責:週刊ベースボール】