【コラム】開幕直前!2025年セントラル・リーグ展望
昨年のセ・リーグは巨人が4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、CSでは3位のDeNAがファーストステージで阪神、ファイナルステージで巨人を撃破。日本シリーズもソフトバンクを4勝2敗で制し、26年ぶりの日本一に輝いた。今年のセ・リーグは混戦になる可能性が高い。2年連続リーグ制覇を目指す巨人、V奪回と2年連続日本一を狙うDeNAに加え、阪神は攻守で脂が乗り切った選手が多く戦力が充実している。昨年の終盤に大失速した広島は助っ人外国人が稼働すれば十分に戦える。2021、22年のリーグ連覇以降に2年連続5位と低迷したヤクルト、球団史上初の3年連続最下位からの巻き返しを狙う中日の戦いぶりにも注目したい。
巨人はマルティネス、甲斐拓也、田中将大とビッグネームを補強。絶対的守護神の加入で大勢が8回に回る。バルドナード、ケラー、船迫大雅、高梨雄平などリリーバーは多士済々で12球団屈指の布陣だ。ソフトバンクの常勝期を支えた甲斐は扇の要になり、投手陣の新たな可能性を引き出せるか。不安材料がないわけではない。打線は丸佳浩が右大腿二頭筋筋損傷で長期離脱が大きな痛手に。左の大砲・キャベッジが日本野球に対応できるかも大きなポイントになる。投手陣は昨年15勝を挙げた菅野智之の抜けた穴をどう埋めるか。新天地で復活を目指す田中将、開幕先発ローテーション入りが確定した石川達也に加え、昨年8勝をマークした井上温大、横川凱、西舘勇陽、赤星優志ら生え抜きの投手たちの奮起に期待したい。
阪神は藤川球児監督が就任。森下翔太を四番に指名し、三番に佐藤輝明、五番に大山悠輔のクリーンアップで戦いに臨む。キーマンになるのが六番を打つ前川右京だ。好機で回ってくる打席が多いだけにポイントゲッターになれるか。投手陣は下肢の張りで出遅れた大竹耕太郎、手術明けの髙橋遥人が開幕に間に合わないが、他の投手にとっては大きなチャンスになる。オープン戦で防御率0.00と抜群の安定感を見せた高卒3年目左腕・門別啓人、新外国人右腕のデュプランティエが先発ローテーションに定着できるか。救援陣は育成入団から開幕前に支配下昇格した工藤泰成に要注目。常時150キロ台中盤の直球、フォークで三振奪取能力が高く、「勝利の方程式」に抜擢される可能性が十分にある。
昨年日本一に輝いたDeNAは、バウアーが2年ぶりに電撃復帰。高い投球技術に加え、中4日の登板間隔でも投げられるタフな右腕は、東克樹と共に先発の大黒柱として計算できる。心許ないのが救援陣か。昨年の救援防御率2.81はリーグ5位。抑えを務めた森原康平は日本シリーズ登板時に右肩の違和感を訴えた影響で、オープン戦終盤にようやく一軍で登板。通算231セーブの山﨑康晃も守護神返り咲きを狙っているだけに、起用法が気になる。打線の破壊力はリーグ屈指。昨年の首位打者・オースティン、牧秀悟、宮﨑敏郎、佐野恵太、筒香嘉智と強打者がそろい、脇を固める梶原昂希、森敬斗、山本祐大も伸び盛り。今年は真のチャンピオンを目指す。
広島は夏場まで首位争いを繰り広げていたが、9月に5勝20敗と大失速して4位に。浮上のポイントは得点力向上に尽きる。モンテロ、ファビアンの両助っ人外国人が中軸で機能すれば十分に戦える。昨年は度重なる故障に泣かされた和製大砲の末包昇大は20本塁打がノルマになる。坂倉将吾が右手中指骨折で戦列復帰は5月以降になるが、秋山翔吾、小園海斗、矢野雅哉らチャンスメークできる選手はそろっている。ポイントゲッターが機能すれば十分に戦える。投手陣は九里亜蓮がオリックスにFA移籍したが、大卒2年目の常廣羽也斗、新外国人のドミンゲス、ドラフト2位左腕・佐藤柳之介など楽しみな投手が多い。戦力を整えて最終盤まで優勝争いに絡みたい。
3年ぶりのV奪回を狙うヤクルトだが、開幕前から故障者が続出している。不動の四番・村上宗隆が上半身のコンディション不良、山田哲人が左手中指を負傷し、塩見泰隆もオープン戦終盤に外野守備で古傷の左膝を痛めて負傷交代。守護神で予定していた新外国人のバウマンも上半身のコンディション不良で離脱し、救援陣の再編成に迫られている。チームを前に進めるためには他の選手の奮起が求められる。楽天からFA移籍した茂木栄五郎は内野の一角をつかむことができるか。昨年最多安打に輝いた長岡秀樹はチームリーダーとしての働きが求められる。先発陣は自身初の開幕投手を務める奥川恭伸、吉村貢司郎、高橋奎二が2ケタ勝利をクリアしてほしい。
球団史上初の3年連続最下位に低迷した中日は、井上一樹新監督が就任。打線の軸として細川成也と共に期待されるのが石川昂弥だ。井上監督はオープン戦で四番に起用。打率.151、1本塁打と結果を残せなかったが、貴重な和製大砲だけに殻を破ってほしい。中軸で期待していた福永裕基、ボスラーが故障で開幕に間に合わないが、オープン戦で絶好調だった上林誠知、移籍2年目の中田翔が輝きを取り戻したい。投手陣は絶対的エース・髙橋宏斗に次ぐ先発陣がポイントに。新外国人のマラー、実績十分の柳裕也、大野雄大、涌井秀章に加え、ドラフト1位・金丸夢斗、2位・吉田聖弥の即戦力左腕コンビが白星を重ねる働きを見せれば大きなプラスアルファになる。
【文責:週刊ベースボール】