【コラム】開幕直前!2025年パシフィック・リーグ展望
昨年はソフトバンクが圧倒的な強さで首位を独走。4年ぶりのリーグ制覇を飾った。日本シリーズでDeNAに敗れ、今年はリーグ連覇と共に日本一を目指す。2年連続最下位から2位に躍進した日本ハムは投打で戦力が充実している。ソフトバンクに対抗する最有力候補であることは間違いない。ロッテ、楽天は即戦力の新人が加入し、戦力アップしている。リーグ3連覇から昨年は5位に沈んだオリックスは岸田護監督が就任し、チームをどう変革していくか。昨年は球団ワーストの91敗で最下位に低迷した西武だが、投手力では決して他球団に見劣りしない。課題の得点力が上がれば、台風の目になる可能性を秘めている。
ソフトバンクは投打の選手層が厚いのが大きな強みだ。打線は昨季首位打者の近藤健介、本塁打と打点の2冠に輝いた山川穂高を軸に、柳田悠岐、周東佑京、今宮健太、牧原大成とタレントがズラリ。栗原陵矢が右脇腹負傷で戦列を離れたが、三塁で起用されるリチャードが殻を破れるか。甲斐拓也が巨人にFA移籍したことで、海野隆司、谷川原健太、渡邉陸、嶺井博希の正捕手争いは熾烈だ。投手陣はスチュワート・ジュニアが左腹直筋を痛めて離脱したが、有原航平、モイネロ、大関友久、前田純、東浜巨、大津亮介、新加入の上沢直之と先発のコマはそろっている。救援陣も質量ともに12球団トップクラスの布陣。昨年不安定だった守護神・オスナは巻き返しに燃えている。
日本ハムは新庄剛志監督が土台からチームを作り直し、2年連続最下位から2位に大躍進。一過性の勢いではなく、攻守の精度が確実に上がっている。「00年世代」の万波中正、金村尚真、田宮裕涼、野村佑希、水野達稀、奈良間大己、水谷瞬を中心に黄金時代の到来を予感させる。生え抜きの選手たちだけでなく、田中正義、郡司裕也、マルティネス、水谷など他球団で伸び悩んでいた選手たちの素質を開花させた指揮官の手腕が光る。昨年は2位に躍進したが、首位・ソフトバンクに13.5ゲームの大差をつけられた。絶対的エースの伊藤大海、打線の中軸を担う清宮幸太郎、レイエスを中心に投打で戦力をどこまで底上げできるか。チームスローガン「大航海は続く」はリーグ優勝で完結させる。
2年連続Aクラスのロッテは佐々木朗希がポスティングシステムでドジャースに移籍したが、十分にカバーできる。ソフトバンクからFA移籍した石川柊太、新外国人右腕のボスに加え、20歳右腕の田中晴也が成長著しい。186センチの長身から角度のある直球は球威十分で変化球の精度も上がっている。新人王を十分に狙える素材だ。野手で目立つのがドラフト1位・西川史礁。思い切りよく振れる上にコンタクト能力が高い。オープン戦では打率.410をマーク。髙部瑛斗、藤原恭大、岡大海、荻野貴司ら外野の定位置争いは非常にレベルが高い。捕手は強肩強打の佐藤都志也、非凡な打撃センスの高卒2年目・寺地隆成、ベテランの田村龍弘も控えている。優勝争いに最後まで食らいつきたい。
4位の楽天は三木肇監督が二軍監督から昇格し、5年ぶりに指揮をふるう。注目は5球団がドラフト1位で競合した宗山塁だ。アマチュアNo.1遊撃手は攻守で洗練されており、将来はチームリーダーになれる。辰己涼介、小郷裕哉、村林一輝、小深田大翔と20代の野手がチームの核になっている中、打線でカギを握るのが浅村栄斗だ。昨年は状態が上がらずスタメン落ちを経験。安田悠馬が右手有鉤骨骨折で戦線離脱した中、浅村がポイントゲッターで機能しなければ白星を積み重ねられない。投手陣は計算できる先発が早川隆久、藤井聖、ベテラン・岸孝之と心許ない。新外国人の最速158キロ右腕・ハワード、ヤクルトから移籍のヤフーレのほか、辛島航や荘司康誠の復活に期待したい。
リーグ4連覇を狙ったオリックスは優勝争いに絡めず5位に。低迷の要因はリーグ5位の402得点とつながりを欠いた打線だった。広島からFA移籍した西川龍馬が打率.258、7本塁打、23年の首位打者・頓宮裕真が打率.197、7本塁打とふるわず、杉本裕太郎も82試合出場で11本塁打と不本意な結果に。若返りの時期を迎えている中、ドラフト1位の麦谷祐介、4位の山中稜真と即戦力ルーキーが新たな風を吹き込めるか。投手陣は新加入の九里亜蓮が最低でも2ケタ勝利をクリアしてもらわなければ困る。救援陣は吉田輝星、宇田川優希が右肘手術で長期離脱に。岸田監督が救援陣をどう立て直すか手腕が注目される。
最下位からの逆襲を目指す西武は西口文也監督が就任。コーチ陣も一新してチームを作り直す。投手陣は武内夏暉が左肘の内側側副じん帯不全損傷で離脱したが、開幕先発ローテーションは今井達也、隅田知一郎、髙橋光成、渡邉勇太朗、與座海人、菅井信也と能力の高い投手が並ぶ。平良海馬を守護神に配置転換し、リリーフには新外国人右腕のウィンゲンター、甲斐野央、佐藤隼輔、羽田慎之介ら球に力がある選手がそろっている。上位浮上のポイントは近年の課題である得点力不足解消に尽きる。新外国人のネビンは広角に安打を飛ばし、オリックスから移籍したセデーニョも中軸で計算できる。プロ2年目の村田怜音、ドラフト2位の渡部聖弥が和製大砲としてチームの核になってほしい。
【文責:週刊ベースボール】