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【コラム】献身的な阪神の五番・大山悠輔が決勝打、二リーグ分立後初の対巨人開幕5戦5勝

 目の前の打者が申告敬遠で歩かされても、まったく動じない。4月26日、甲子園での巨人戦。2対2の8回、一死二塁で巨人バッテリーは阪神の四番・佐藤輝明との勝負を避けた。しかし、続く五番・大山悠輔は「冷静に打席に向かいました。そういう場面もあるだろうと想定して準備していましたから」。心をかき乱されることなく、投手との対戦に集中した。初球、外角へのスライダーを見逃したあとの2球目。田中瑛斗が投じた内角シュートにうまく反応すると、鋭いゴロは三塁線を破る決勝二塁打となった。この回、さらに坂本誠志郎の適時二塁打、小幡竜平の犠飛が生まれて3点を追加。大山のバットが打線を活性化させた。

 6対2で勝利した阪神は6連勝。今季最多の貯金6で首位をキープした。さらに二リーグ分立後では初の対巨人開幕5戦5勝をマーク。大山は前日の同戦から話題の「魚雷バット」を使用し、2試合連続の決勝打。さらに通算1000試合出場のメモリアルゲームでもあった。「僕一人の力じゃ無理でしたし、たくさんの方の支えがあってここまで来られたので、すべての方に感謝したい」とお立ち台で謝意を表した大山。続けて「(8回の)僕の1本も、そのあとの得点もチーム全員の流れで取った得点だと思うので、すごくいい攻撃ができた。本当はこのお立ち台にも僕だけではなく、チーム全員で上がりたいくらいなので、そういう意味では大きな1勝だと思います」とナイン一丸を強調した。

 チームに対する献身的な思いは人一倍強い。2023年の38年ぶり日本一に貢献した四番打者。今年は開幕から五番に座るが、チームのことを誰よりも考える役割は変わらない。

「森下(翔太)、テル(佐藤輝)が三、四番に入るので、彼らには楽に気負いなく打席に立ってもらうために、五番がしっかりしないといけないと思っていますし、成績も残さないといけない。長いシーズン、チームが悪いときは必ずあります。そのときに批判が2人に集中しないように……。僕が非難を受け止める存在になりたいな、と思っています。これまで僕が先輩方にそうしてもらったように。まだまだ2人には責任を背負ってほしくないですからね」

 藤川球児監督からは「打点を意識してほしい」と期待されているが、それを体現。4月27日現在、打率.233だが、得点圏打率はリーグ4位の.409をたたき出している。

「打点はチームの勝利に直結しますから多く稼げば稼ぐほど、チームの勝利に貢献できます。大量得点となれば、休める投手も出てきて、それがシーズンを通していい循環になります。それこそが僕の仕事かな、と思っています。ただ、僕は中距離打者。今までホームランを狙って力んでいたので、今年は丁寧に、丁寧にセンター方向を目標に打ちたいな、というのが1年間のテーマです」

 日本一を経験して実感したのが、「何事も全力でやる」ことが優勝への近道ということだ。

「1球1球にどれだけ執着心を持てるかが、ペナント奪還への道だと思います。それを組織としていかにできるか。僕はチームの中で年上の部類になっているので、それを行動で見せる必要があります」

 2年ぶりの歓喜へ――。阪神には頼もしい存在がいる。

【文責:週刊ベースボール】