ソフトバンクの3勝で迎えた「SMBC日本シリーズ2019」第4戦。ソフトバンクが勝つと日本一が決まる一戦で巨人はエースの菅野智之を先発に立てた。レギュラーシーズン終盤、腰の故障で戦線を離脱した菅野は、リハビリと調整を経てのポストシーズン初登板。初回、ソフトバンク打線を三者凡退に抑え、上々の立ち上がりを見せた。
先にランナーを出したのは巨人。1回裏一死から坂本勇人がソフトバンク先発・和田毅の低めの変化球を見送り四球で出塁すると、迎える打者はここまでシリーズでヒットのない丸佳浩。丸は2球目のスライダーを引っ掛け、併殺崩れで一塁に残るが、続く岡本和真は捕邪飛に倒れて先制点は奪えず。
巨人は3回裏、二死から亀井善行が一塁線を破る二塁打を放つ。さらに坂本勇がまたも低めの変化球を見極め、四球を選んで出塁。一、二塁のチャンスで打席に迎えたのは、前の打席でもランナーを置いて凡退した丸。一矢を報いたいところだったが、2ボール2ストライクから外角へのストレートを見送り、見逃し三振でチャンスをつぶした。
この和田の要所を締めるピッチングがソフトバンクに流れを引き寄せる。4回表、先頭打者の今宮健太が左前打で出塁し、三番・柳田悠岐の三振の間に二塁へ盗塁。続くデスパイネの放った打球は三塁強襲のヒット。一死一、三塁とチャンスを広げると迎えたグラシアルは7球目のスライダーを左中間へ叩き込む3ラン。「(デスパイネとグラシアルは)ここぞという場面ではつなぐ意識でチームバッティングをしてくれる」と工藤公康監督が称える助っ人の、シリーズ3本目となる一発で3点を先制した。
なんとか反撃したい巨人に対し、ソフトバンクは6回裏から和田に代わってスアレスを投入。巨人は一死から坂本勇が3打席連続となる四球を選び塁に出る。丸は三振に倒れたが四番・岡本が2球目のストレートを右翼席へ運び、1点差に迫る。さらにゲレーロが中前打で続いた後、巨人は代打に阿部慎之助を送る。阿部は代わったソフトバンクの嘉弥真新也から死球を受け出塁。二死一、二塁と攻め立てるが、代わった甲斐野央が代打の石川慎吾を遊ゴロに打ち取り、試合は1点差のまま終盤に入る。
7回表、ソフトバンクは続投する菅野の前に一死から福田秀平が三塁へのゴロを打つが、これを岡本が弾き、エラーで出塁する。松田宣浩の遊撃へのゴロも内野安打となり、一、二塁とランナーをためる。ここで代打・長谷川勇也が放った打球は右方向へ。併殺打になるかと思われたが、打球を受けた二塁・山本泰寛が悪送球。その間に二走が生還して、ソフトバンクは貴重な追加点を挙げる。続く甲斐野のバントも三塁への内野安打となり、ここでエースの菅野は降板。1イニングで2つのエラーと不運な形で失点した菅野には、スタンドからは温かい拍手が贈られた。
このままでは終われない。巨人も意地を見せる。7回裏一死から代打の重信慎之介が投手強襲の安打で出塁すると、亀井が右前打で続く。坂本勇が三振後、二死一、二塁で丸に打席が回る。ソフトバンクは左のモイネロにスイッチしたが、丸はその2球目、真ん中低めストレートをフルスイング。このシリーズ初ヒットとなる左翼フェンス直撃の二塁打で、再び1点差まで迫った。
しかし、反撃もここまでだった。ソフトバンクは8回裏をモイネロが三者凡退、9回裏は守護神の森唯斗が二死から亀井に四球を与えたが最後は坂本勇を空振り三振に斬って取って、3年連続10度目の日本一を決めた。ナインの手で10回宙を舞った工藤監督は「本当に最高の気分です。CSファーストステージ(第2戦)から10連勝。素晴らしい選手、仲間とコーチ、スタッフと野球ができた。こんな幸せ者はいない」と感激の面持ちだった。
なお、MVPにはソフトバンクのグラシアル、優秀選手賞は高橋礼、デスパイネ、松田宣が選ばれ、敢闘選手賞には巨人の亀井が選ばれた。
2019年10月23日(水)
東京ドーム ◇開始 18:18 (3時間22分) ◇入場者 44,708人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 8 | 0 |
読売 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 3 | 6 | 2 |