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日本野球機構オフィシャルサイト

NPBアンチ・ドーピングガイド2021

9.ドーピング検査Q&A

Q1 なぜ、プロ野球なのにドーピング検査をするのですか?
A1
 ドーピング検査は、もともとはオリンピックから始まりました。ごぞんじのように、かつてオリンピックにプロは参加できなかったのですが、今ではバスケットボールの「ドリームチーム」はもちろん、野球でもプロ選手が多数参加しています。また、アンチ・ドーピング運動は世界的高まりをみせ、日本でも国体やJリーグでもドーピング検査が実施されるようになりました。プロ選手の場合、職業としてスポーツをしているわけですが、もし「ドーピング違反」で試合に出られなくなった場合、選手生活への影響が大きく、あまり積極的にドーピング検査を導入しようという動きはありませんでした。しかし、高まるアンチ・ドーピング運動と、何よりもドーピングによってスポーツそのものがだめになるという理由から、MLBをはじめプロスポーツにもドーピング検査が導入されるようになったのです。
 選手のみなさんにとってはわずらわしいこともあるでしょうが、何よりも日本のプロ野球と選手のみなさんを守るためにドーピング検査が行われるのです。クリーンな日本プロ野球であるから、人々から応援されるのです。クリーンさを保つため、ご協力をお願いします。
Q2 どうしてもドーピング検査を受けなくてはいけないのですか?
A2
 ドーピング検査の対象に選ばれた場合は、断ったり、延期したりすることはできません。「今日は都合が悪いから」とか「今度にしてほしい」とか「自分は何もやっていないから」というのは理由になりません。選ばれたら、拒否できないのです。もし、拒否したり、指定の時刻にドーピング検査の場所に行かなかったら、それだけで「ドーピング違反」になります。
Q3 オフシーズンには、ドーピング検査はないのでしょうか?
A3
 ドーピング検査には、シーズン中に行う競技会検査と、オフシーズンに行う競技会外検査の2種類があります。競技会外検査では、不定期にドーピング検査を行うことができます。ですので、選手を引退するまでは、いつでも検査を受ける心構えをしていなければなりません。
Q4 ドーピング検査で禁止物質が検出されたときには、どうなるのですか?
A4
 ドーピング検査では、検体(尿、血液)をA、B2つのボトルに採取します。その1つのボトル(A検体といいます)から禁止物質が検出されたとき、もう1つのボトル(B検体といいます)の検査を要求することができます。B検体の検査結果も同じであれば、ドーピング検査陽性になり、制裁が科されます。ただし、制裁を決定する前に選手本人が弁明する機会が与えられます。
Q5 自分ではまったくその気がないのに「ドーピング」とされることはありえますか?
A5
 ドーピング検査では「その気があったかどうか」ということよりも、ドーピング検査で禁止物質が検出されたかどうかが問題になります。検出されれば、「陽性」であり、ドーピング違反が問われます。
 また、アンチ・ドーピングのルールでは、摂取するものに対してすべて選手自身が責任を負うという、非常に厳しいルールとなっています。たとえ禁止物質が入っているのを知らないで、風邪薬や胃腸薬をのんだ場合であっても、その薬を確認せずに使用した選手の責任が問われることになります。
Q6 Q5の場合、「無罪」を主張したり、「制裁を軽くする」ことはできないのですか?
A6
 アンチ・ドーピングのルールでは、前述のとおり、「摂取するものに対して選手自身が責任を負う」ことが課されています。と同時に、その責任を果たしていること、また自分がクリーンであるということを自ら証明しなければなりません。
 検査結果で陽性となったとき、弁明の機会で、禁止物質がどのようにして(何が原因で)体の中に入ることになったのか、またアンチ・ドーピングにおける選手としての責任を果たしていたかを自らが証明しなければなりません。そのことが証明されてはじめて、「無罪を主張」したり、「制裁を軽くする」ことが可能になります。
Q7 A6の証明をするにはどのような方法がありますか?
A7
 まずは、「記録」を残すことです。薬やサプリメントを買ったこと、使ったこと、自分で調べたり、人に聞いたりして禁止物質が含まれないことを確認したことなど、どのような形でもよいので日頃から薬やサプリメントについて記録を残すことを心がけてください。この選手手帳の後ろにも記録欄がありますので、ぜひ利用してください。
 また、ドーピング検査のときに、1週間以内に使用した、薬、サプリメントをできる限り申告することも大切です。
Q8 近年、製品の製造過程で禁止物質が混入したことが原因で、ドーピング違反となった事例が国内でも複数件発生しています。何か備えておくべきことはありますか?
A8
 禁止物質の混入が疑われる違反の場合は、使用した製品を分析し禁止物質が混入していないか確認する必要があります。
 薬は(可能であれば)1回分、サプリメントは、1、2錠または大さじ1杯分くらい使用した製品を保管しておくとよいでしょう。合わせて、薬は薬をもらった日付と薬局名、サプリメントは、商品名と製造番号(ロット)を記録(写真に撮るなど)して製品と一緒に残しておくことをお勧めします。
Q9 ドーピング検査陽性となり、制裁が決定された場合、抗議することはできないのですか?できるとしたら、どうすればよいのですか?
A9
 この場合の「抗議」は規程上は「異議申立て」と呼ばれます。当該選手は、処分がいい渡されてから実働日の10日以内に所属球団を通じて異議申立ての申請を「NPBアンチ・ドーピング特別委員会」に提出することができます。
Q10 禁止物質・方法にはどのようなものがあるのですか?
A10
 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表は『選手手帳』にしめしましたが、大きく次の3つに分けることができます。Ⅰ常に禁止される物質と方法(競技会(時)検査および競技会外検査)、Ⅱ競技会(時)検査でⅠに加えて禁止される物質、Ⅲ特定競技で禁止される物質、そして禁止されてはいないけれど乱用を監視する物質のリストとして監視プログラムがあります。ただし、Ⅲは野球には関係ありません。全体的にいうと、競技力を向上させる薬・方法、違反物質を使用していることをかくすための薬・方法が禁止物質・方法ということになります。
Q11 ドーピング違反になるのは、飲み薬だけですか?
A11
 いいえ、飲み薬だけではありません。塗り薬、貼り薬、吸入薬、坐薬、そして、注射薬など、薬には禁止物質が入っているかもしれないということを常に意識しなければなりません。
Q12 「くすり」でなければ、ドーピング違反にならないのですか?
A12
 サプリメントの中にも禁止物質が入っている場合があります。(→Q20へ)
 また、まれなケースではありますが、海外の製品で「天然成分由来」を強調したひげを濃くするクリームの中に禁止物質が入っていた例がありました。
Q13 プロ野球選手は病気やケガのときにお医者さんからもらった薬も使えないのですか?
A13
 原則として、禁止物質が含まれた薬は使えません。しかし、治療のためにどうしても必要な場合には絶対に使えないわけではありません。所定の用紙(TUE申請書)で申請し、許可されれば、使用できます。禁止物質が含まれているかどうか、よくわからないときは、薬物名を記しておき、アンチ・ドーピングに詳しいスポーツドクターかNPB医事委員会に問い合わせてください。
Q14 内科的な疾患を抱え常備薬を常用する選手は、チームドクター以外の個人のかかりつけ医師の署名によるTUE申請はできるでしょうか?
A14
 TUEの申請は、アンチ・ドーピングに詳しいドクターであれば誰でもかまいません。チームドクターである必要はありません。
Q15 糖質コルチコイドの局所投与の際のTUE申請は不要ですか?
A15
 2021年は糖質コルチコイドを関節内、関節周囲、腱周囲へ注射する場合や吸入する場合、また眼、耳、鼻、口腔内、歯肉、(※) 皮膚へ使用する場合は、局所投与となり禁止されていません。したがって、TUE申請は不要です。
 ただし、2022年から、競技会において、すべての注射経路での使用が禁止される予定なので、注意してください。

※2021年3月22日付、世界アンチ・ドーピング機構の糖質コルチコイドの口腔内への局所使用についての通達により削除
Q16 ぜんそく治療のベータ2作用薬吸入に関して変更された点はありますか?
A16
 2021年からビランテロールの吸入薬が使用可能になりました。
 プロカテロール(メプチン)、など下記以外の吸入薬は、禁止物質に該当するため、使用するには事前のTUE申請が必須となります。また近年、風邪のせきどめや喘息の治療で使われるツロブテロール(ホクナリン)のテープ剤でドーピング違反が散見されるので、注意してください。
<使用可能な吸入薬(用法用量厳守)>
  1. サルブタモール(サルタノール)
  2. サルメテロール(セレベント、アドエアなど)
  3. ホルモテロール(シムビコート、フルティフォーム)
  4. ビランテロール(レルベア)
Q17 「元気が出る」注射や点滴は認められますか?
A17
 前述(7.ケガや病気のときはどうすればよいか、TUEについて「正当に受ける静脈注入・花粉症の対策等についてNPB医事委員会の見解」)のとおり、入院設備のある医療機関において、禁止物質ではない薬剤の静脈注射を正当に受ける場合は認められます。
 それ以外の場所で行う12時間あたり計100mlを超える静脈注射は、ドーピング禁止ではない薬剤であっても、ドーピング違反になりますので注意してください。
Q18 市販の薬でもドーピング違反になることはありますか?
A18
 あります。総合感冒薬(風邪薬)や胃腸薬、せきどめなど、また漢方薬でも禁止物質が含まれていることがあります。安易に市販の薬をのまないようにしてください。使ってよい薬、特に気をつけたい市販薬(OTC医薬品)の一覧を掲載しましたので参照してください。
Q19 酸素カプセルはドーピング行為になりますか?
A19
 なりません。2021年のWADA禁止表でもM1.血液及び血液成分の操作の項で酸素摂取や酸素運搬、酸素供給を人為的に促進することは禁じていますが、「但し、吸入による酸素自体の補給は除く」と明記されていますので、高圧空気カプセル、高圧酸素室、ボンベなどによる酸素吸入などはドーピング違反にはなりません。
Q20 サプリメントでドーピング違反ということはありますか?
A20
 海外のサプリメントの中には禁止物質を含むものがあるので要注意です。成分表示がないものや、メーカーに問い合わせても、その内容を教えてくれなかったり、「秘密だ」といわれるものは使わないほうがよいでしょう。
 サプリメントというより、滋養強壮薬(精力剤)のたぐいは禁止物質が含まれているケースが多く、プロ野球選手は使わないほうがよいでしょう。
Q21 サプリメントを使用するときの注意点は?
A21
 サプリメントは食品に分類されるため、すべての含有成分の表示義務はありません。したがって表示されていない成分を含有している可能性があり、それが禁止物質である場合があります。
 国際オリンピック委員会も世界アンチ・ドーピング機構も、このようなサプリメントの危険性について再三注意喚起をおこなっており、その使用について推奨していません。サプリメントが原因で違反が疑われる検査結果となってもその責任はすべて選手自身に課されます。
 栄養摂取の基本は食事であり、サプリメントはその意味のとおりどうしても食事で補えない栄養素を補うものです。
Q22 インフォームドチョイスやインフォームドスポーツのような禁止物質が含まれていないことを確認したマークがついているサプリメントは安全ですか?
A22
 これらのマークは、サプリメントメーカーが、禁止物質を分析する会社へ製品の検査を依頼し、禁止物質が含まれていなければ、その製品にマークをつけるというプログラムです。このプログラムは分析会社がオリジナルで実施していて、WADAや各国のアンチ・ドーピング機関とは一切無関係なく、禁止物質が含まれないことを100%保証するものではありません。もし、ドーピング検査で禁止物質が検出されれば、当然、違反となります。マークがある製品は、全く何もしていない製品よりは選択肢としての評価が高い(better)位置づけです。アンチ・ドーピングにおいて、100%安全なサプリメントはありません。
Q23 ドーピングに関してわからないことがあった場合、どこに聞けばよいでしょうか?
A23
 身近にアンチ・ドーピングに詳しいスポーツドクターがいれば、その先生に聞いてみるのもよいでしょう。何か疑問があれば最終頁に記した、NPB医事委員会にお問い合わせください。